海外コメンタリー

予測的アナリティクスと機械学習--真に役立つ場面を考えるためのヒント - (page 4)

George Anadiotis (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2017-01-10 06:30

機械学習ですべての問題が解けるわけではない

 機械学習を使うことは、経路探索の中心問題を解決する最善の方法だろうか。十分に理解されている分野の、他の人たちの行動に関するデータの有無とは無関係に機能する一連のルールを定めることが可能な領域の動作を実装するために、わざわざ問題を最初から考え直し、データを見つけ、アルゴリズムをトレーニングする必要はあるだろうか。

 搭乗ゲートリーダーについて考えてみよう。搭乗ゲートリーダーは極めて決定論的だ。システムのすべての部分が正しく機能するとすれば、100%の正しさでイエスかノーかを決定することができる。そしてこの場合、これはいいことだ。もちろん、過去の搭乗者のあらゆる性質を計算に入れて、新しい搭乗者の搭乗エリアへの立ち入りを認めるかどうかを判断できる、機械学習を使った搭乗ゲートリーダーを考えてみることはできる。しかし、これは果たして真に求められているものだろうか?

 これは、トレーニングやラベル付けの作業を必要としないいくつかの単純な手続きルールやデータベースで、求められている要件が満たせる場合に必要だろうか。また、どのような特徴を考慮すれば、搭乗者の立ち入りを許すかどうかを分類できるだろうか。年齢だろうか、身長だろうか。それとも収入や人種や顔の特徴だろうか。同様の考え方で、顔の特徴に基づいて人間を一定のグループに分類することに機械学習を利用した事例があるが、さまざまな批判を受け、19世紀の骨相学を思い起こさせた。


機械学習は果たして科学的だろうか。
提供:Faception

 しかし、アルゴリズムに偏向や失敗が紛れ込むのは珍しいことではないし、極端な例を考えるまでもなく、機械学習はそれ単体で機能するようなものではない。機械学習はデータに潜んでいるパターンや潜在的な相関関係を発見する優れた手段であり、人間にとって大きな助けになる可能性がある。例えば、よくあるスペルミスを特定したり、複雑なデータからパターンを発見したり、タグ付けやスキーマの管理、オントロジー構築のスタート地点として利用できる相関関係をデータから発見できることさえある。極めて便利ではあるが、これらは真に人工知能(AI)を成すものではない。

 機械学習は実装が複雑であることも多く、得られる結果も素晴らしいが、アルゴリズム的であり、決定論的な仕組みだ。そこには魔法は1つもなく、汎用人工知能的な意味でのAIにはなっていない。特化型人工知能の構成要素として使える程度かもしれない。ただし、これらの定義はより徹底的に吟味されるべきかもしれない。同じことは、ディープラーニングや、セマンティクスと機械学習の併用、関わる人間、指示的アナリティクスへの取り組みについても言える。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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