日本株展望

大手銀行株の上昇は続くか?

ZDNet Japan Staff 2017年01月05日 11時13分

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今日のポイント

  • 3メガ銀行株は2016年後半、世界的な金利上昇を好感して急騰したが、投資対象として今でも魅力的と考えている。今後、海外事業の拡大によって成長する余地があることに加え、配当利回りや株価収益率(PER)などの株価指標から見て、株価が割安であることが評価できる

 このことについて楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

2016年後半は長期金利上昇を受けて世界的に金融株が上昇

 トランプ次期大統領が、大規模な公共投資・減税を実施して米景気を強化する方針を示してから、米国で長期金利(10年国債利回り)が急上昇した。米景気の回復期待と米財政赤字が膨らむ懸念から、長期金利に上昇圧力がかかった。

 2016年後半は、米国だけでなく世界的に長期金利が上昇した。資源価格の上昇でデフレ懸念が低下したこと、世界的に景気が回復歩調にあることが影響している。

米英独日の長期金利(10年国債利回り)推移:2016年1月4日~2017年1月4日

米英独日の長期金利(10年国債利回り)推移:2016年1月4日~2017年1月4日

 長期金利上昇を受けて、2016年後半は世界的に銀行など金融株が急上昇した。銀行株は、2016年前半まで、長期金利の低下によって預貸金利ザヤが縮小する懸念で売り込まれていたが、長期金利反発をきっかけに、一斉に急反発した。

 アメリカでも、長期金利上昇を受けて銀行株が急上昇した。アメリカの銀行株も財務・収益は問題ないものの、金利低下を不安視する投資家に売られて、かなり割安なバリュエーションに放置されていた。金利上昇が割安な銀行株の見直し買いにつながった。

 ウォールストリート(金融業界)に厳しい政策を取ると思われていたトランプ次期大統領が、米証券大手ゴールドマン・サックス出身者を主要ポストに起用するなど、金融業界に友好的と見られる人事方針を示したことも、米国で金融株が買われる要因となっている。

 また、トランプ氏が、ドッド・フランク法(金融規制改革法:リーマンショックの経験を経て2010年7月に導入された法律で、金融業界の規制を強化する内容)を緩和する方針を示していることも、金融業界に追い風と見られている。

銀行株が何でも買われる局面は終わりつつある可能性も

 日本でも、金利上昇を受けて、金融株が急上昇した。2016年後半に株価がかなり上昇したので、ここからは買いにくいとの見方もある。

 窪田氏は、海外事業の拡大によって成長する余地のある大手金融株の上値余地は依然大きいと見ているという。ただし、国内事業に特化している金融機関は成長性がないため、ここからは上値が重くなると見ている。金融株の中で、選別が進むと考えられる。

 具体的に言うと、海外事業を拡大しつつある3メガ銀行株(三菱UFJ FG=8306、三井住友FG=8316、みずほFG=8411)株の投資魅力は高いと考えられる。伝統的な国内での商業銀行業務の収益低迷は続くものの、利ザヤが厚い海外での与信、多角化(信託・証券・リース・消費者金融など)事業を拡大することによって、成長する余地があるからだ。

 同様に海外事業の拡大を進めている大手損保(東京海上HLDG=8766、SOMPO HLDG=8630)も投資対象として有望と考えられる。

 一方、国内の商業銀行業務が中心の地方銀行やゆうちょ銀行(7182)は上値が重くなってくるだろう。日本の長期金利は反発したといっても、まだゼロ%近辺だ。国内商業銀行の利ザヤが圧迫される状況は変わらない。

満を持して海外事業拡大に舵を切る大手銀行

 海外利益の拡大が軌道に乗りつつある日本の3メガ銀行の投資魅力は高いと考えられる。3メガ銀行の海外事業拡大には、3つの追い風が吹いている。

  1. 3メガ銀行の財務が強固に:海外与信拡大の余力が増した
  2. 欧州の銀行の財務が悪化:海外のプロジェクト・ファイナンスで邦銀が競争優位に立つようになった
  3. 円安が進んだ:海外事業利益(外貨建て)の円換算額が拡大した。つまり、邦銀にとって円ベースで見た海外事業の収益性がさらに高くなった

 実は、邦銀が海外与信拡大に注力するのは、今回が2度目だ。最初に海外与信を積極拡大したのは1980年代だった。日本企業の海外進出が進むにしたがって、大手銀行も海外進出し、主に日系企業向けの与信を拡大した。

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