今日のポイント
- NYダウは、米景気好調を示す指標の発表が続いたことを好感して2万ドルに迫っているものの、9日は反落。日経平均は、2万円を目指す展開と予想しているものの、目先は上昇ピッチの速さへの警戒もあり、足踏みが続く可能性もある
- 今月後半に始まる10~12月期決算では、企業業績の上方修正が増える見込み。円安および米国および中国の景気回復が、日本企業の業績モメンタム改善に寄与すると予想
これら2点について楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。
日本が休暇中の海外市場の動き
NYダウは、6日が米雇用統計堅調を好感して64ドル高の1万9963ドルと2万ドルに迫ったが、9日は76ドル安の1万9887ドルと反落。
為替は、日本時間で10日(午前6時50分現在、1ドル116.08円、CME日経平均先物(3月限)は、同時刻で1万9420円(6日の日経平均終値対比マイナス34円)だった。
NYダウは2万ドル、日経平均は2万円を目指して上昇すると考えられる。ただし、上昇ピッチの速さに警戒感もあるため、日経平均は、しばらく1万9000円台で足踏みする可能性もある。
トランプ次期大統領が、Twitterを通じて積極的に情報発信している。保護主義の過激発言が出ると、嫌気される可能性があり、注意を要する。
米景気は順調に回復が続いている
先週、12月の米ISM景況感指数と雇用統計が発表になった。いずれも、米景気堅調を示す内容だった。
ISM製造業および非製造業景況感指数:2014年1月~2016年12月

(出所:米ISM供給管理公社)
米国で、製造業・非製造業ともに、景況が改善してきていることがわかる。米製造業の景況指数は、2016年に一時景況感の分かれ目である50を割り込んでいた。足元、回復色が強まっている。
非製造業景況指数は50を上回って推移している。2016年半ばに水準が低下していたが、年後半に再び水準が上がってきている。
12月の雇用統計も、米景気が堅調と言える内容だった。
完全失業率:2014年1月~2016年12月

(出所:米労働省)
12月の完全失業率は4.7%で、11月の4.6%よりも0.1%ポイント上昇た。ただ、このレベルは実質完全雇用に近いと考えられており、雇用情勢が良好との判断は変わらない。
非農業者部門の雇用者増加数(前月比):2014年1月~2016年12月

(出所:米労働省)
12月の非農業部門雇用者増加数は、前月比で15.6万人の増加だった。米景気が好調とみなされる20万人増を下回っているが、実質完全雇用に近い状況にあるため、雇用増加数が20万人に満たなくても雇用は好調と見なすことができる。
今回、注目されたのは、平均時給が前年比で2.9%増と、7年ぶりの高い上昇率となったことだ。米雇用情勢は良好で、2106年12月の利上げは妥当だったと解釈された。