IBMは米国時間1月9日、同社のWatson Health事業部と、ゲノム情報のシークエンシングツールを提供するIlluminaとの提携を発表した。これにより、「IBM Watson」が持つデータ分析機能と、Illuminaの持つ腫瘍遺伝子解析キットを統合し、がん研究におけるゲノム情報の解釈を標準化するのが狙いだ。
この提携の下、「Watson for Genomics」(旧称:「Watson Genomic Analytics」)は、Illuminaの「BaseSpace Sequence Hub」と腫瘍のシークエンシングプロセスに統合される。具体的に述べると、固形腫瘍を検出するためのシーケンスパネルであるIlluminaの「TruSight Tumor 170」によって生成されたデータの解釈にWatson for Genomicsを利用できるようになる。このシステムの目標は、170の遺伝子の変位を検出するとともに、RNAとDNAの双方を検査することだ。
なお、今回の提携の範囲は研究に対してのみ適用され、診断手続きには適用されない。
Watson for Genomicsは、1カ月あたり1万件の学術論文と、100件の臨床試験のデータを処理することができる。そして、TruSight Tumor 170の生成したファイルを読み込み、各遺伝子の変位に対して、プロフェッショナルな観点からのガイドラインと医療文献、臨床試験などの情報による注釈を加え、研究者向けのレポートをわずか数分で作成する。従来の方法では、こういった処理には1週間以上かかるのが一般的だ。
この統合は2017年の早いうちに実現され、Watson for GenomicsはIlluminaのTruSight Tumor 170による分析をサポートするようになる。
詰まるところ、IBMとIlluminaはDNAシークエンシング技術の進歩に追随していきたいと考えている。両社は研究のボトルネックが、データを解釈するための時間とコストにあるとしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。