これに関連して、地理情報システム(GIS)を専門とする企業であるBoundlessのCEO、Andy Dearing氏は、IoTのデータストリームを位置情報と組み合わせることが極めて重要だと考えている。Dearing氏は、「トレンドを処理して発見し、インテリジェンスを提供可能な、位置情報を用いたアナリティクスやプラットフォームがよく利用されるようになる」と予想している。
同氏はさらに一歩進んで「自動運転車やスマートシティの取り組みがより現実的になるにつれて、賢い判断をするにはあらゆる位置情報をどう用いればよいかを理解することが重要になる」とも述べている。
無限ループ
企業がIoTデータからそういった価値を引き出すには、ストリーミングデータの処理に長けている必要がある。Impetus Technologiesで「StreamAnalytix」の製品責任者を務めるAnand Venugopal氏は、「リアルタイムストリーミングアナリティクスの力を活用する企業は、より敏感で、より機動性が高くなり、顧客のニーズや習慣をよりよく把握して、全体としてよりよい体験を提供できるようになる」と述べている。
問題は、単にデータを取り込むだけでは十分ではないということだ。データにはクレンジングなどの準備が必要だ。これには多くの手作業が必要であり、新しいテクノロジによるブレークスルーがもたらす潜在的インパクトが、古いテクノロジの現実によって弱められてしまうことを意味している。結局、アナリティクスはゼロサムゲームなのだろうか。
壁を越える
PentahoのGallivan氏の考えは違う。むしろ、古い問題によってブレークスルーが行き詰まるのではなく、ブレークスルーが古い問題を解決しうると考えている。同氏は「IoTの導入とビッグデータとの融合によって、自動的なデータの準備が必要不可欠になる」と述べている。つまり、機械学習モデルを利用して、別の機械学習モデルのトレーニングに使用するデータを準備する必要があるということだ。
これは卓越した分析であり、後知恵で考えれば単純な話でもある。もしあるテクノロジが革新的だとすれば、そのテクノロジ自体を革新するためにも使えるはずではないか。
よりよい世界へ
2016年には、ビッグデータとアナリティクスの業界はやや行き詰まりを見せていた。しかし2017年には、Gallivan氏が示したような「メタ的」思考がもっと生まれてくるかもしれない。それこそが、この停滞から抜け出し、生産性を引き上げ、顧客に真の価値をもたらすための鍵となるように見える。
この楽観的な視点から見れば、IoTのデータを活用し、GPUで性能が強化されたクラウドで実行され、エンタープライズプリケーションに組み込まれ、データサイエンティスト以外の人たちによって扱われようになる2017年のAIや機械学習の姿が見えてくる。2017年には、少なくともこの予想の一部が実現することを祈ろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。