Elasticは、ユーザーカンファレンス「Elastic{ON} Tour 」を日本で開催した。オープンソースの全文検索エンジン「Elasticsearch」で知られる同社だが、基調講演を務めた最高技術責任者(CTO)で創業者のShay Banon氏は、「Elasticsearchで注目されているが、われわれのゴールは検索に限らず、ユーザーライフを単純化していくことだ」と説明した。
Elastic CTO&創業者 Shay Banon氏
このゴールを実現するために必要なソフトウェアを開発する複数の企業を買収しており、現在提供している「Elastic Stack」は、Elasticsearchをはじめ、3つの主要製品から構成された製品となっている。
バノン氏は同社のテクノロジを企業がどのように利用しているのか、事例を交えて紹介しながら、Elasticが目指す方向性について基調講演で説明した。
Elasticsearchの最初のバージョンは2010年の2月にリリースされた。その後、2012年に法人が設立されたが、最初のバージョンから会社が設立されるまでの2年間だけで、総累積ダウンロード数は200万件に上るなど、Elasticsearchは大きな注目を浴びた。
だが、その時点からすでにElasticが目指すゴールはサーチテクノロジだけではなかった。それが明確になっていくのは2013年からだ。KibanaとLogstashのオープンソースプロジェクトがElasticsearchに参加、さらに2014年にはモニタリングツール「Marvel(現Monitoring)」をリリースする。
「われわれはサーチだけを提供するのではなく、ユーザーライフを単純化することこそがゴールと考えていた」(バノン氏)
2015年には社名をElasticsearchからElasticに変更し、第1回ユーザーカンファレンスも開催。さらに、現在は「Elastic Cloud」の名称で提供しているサービスを開発していたFoundを買収し、現在は「Beats」として提供しているPacketbeatチームも仲間に加わった。
「2015年になるとElasticsearchだけではなく、さまざまな製品が加わった。そこで社名もsearchをとってElasticへと変更することとなった」
2016年には異常検出エンジンを提供するPrelertを買収し、総累積ダウンロード数は7500万となった。
提供しているElastic Stackは、可視化=Kibana、解析=Elasticsearch、収集=Beats、Logstashという3つの主要要素から構成されているが、この拡張にも積極的に取り組んでいる。X-PackはElastic Stackにセキュリティ、アラート、モニタリング、レポート、Graphの機能を追加するためのパッケージング製品だ。1つからダウンロードすることも、まとめてダウンロードすることもできる。
さらに、そこにElastic Cloudを組み合わせることで、クラウド上での利用もさらに利便性が増すこととなった。
さまざまなソフトウェアを提供することで利便性は高まった一方、利用するバージョンについては複雑な状況となった。それぞれが別個に開発されてきたために、「どのバージョンの組み合わせが最適なのか、複雑になりすぎて私も最適解が分からなくなってしまった」とバノン氏も振り返る。