Bluemixの歩き方

第1回:Bluemixの特徴と価値--ハイブリッドでオープンなアーキテクチャの意味

平山毅 (日本IBM)

2017-01-16 12:00

 こんにちは、IBMの平山毅です。「Bluemixの歩き方」では、分かりやすくBluemixのラインアップや特徴、利用方法、実現できることとその効果についてカテゴリごとに段階的に紹介していきます。

 第1回は、まずBluemixの特徴と価値を紹介します。その後は以下のような形でBluemixに展開される代表的なサービスを具体的に紹介していきます。

第 1回 Bluemixの特徴と価値
第 2回 Cloud Foundry、Docker
第 3回 OpenWhisk
第 4回 API Connect
第 5回 IBM Watson
第 6回 IoT
第 7回 Blockchain
第 8回 Analytics、Data Services、Datalake、IBM Watson Data Platform
第 9回 Mobile First
第10回 DevOps、Node-Red
第11回 OpenStack、Bluemix Infrastructure、Cloud Object Storage(Cleversafe)
第12回 InterConnect 2017 での発表内容のサマリ

新Bluemixブランド

 まず、Bluemixは、もともとはIBMが提供するPaaSとして、2014年2月にベータ版として提供開始し、同年6月に正式にサービスが開始されました。当初は、オープンスタンダードに準拠し、PaaSのオープンソースソフトウェア(OSS)でデファクトスタンダードであるCloud Foundryベースのアプリケーションの実行環境を中心として、IBMが提供するIoTやMobileといったモダンなサービスをバインドして利用する使い方が中心でした。

 その後に、WatsonやBlockchainなどのデジタル系サービスやサーバレスアーキテクチャであるOpenWhiskやAPIを管理、統合するAPI Connectが加わり、デジタルイノベーションを提供するプラットフォームとして、強化が行われました。

 2016年10月には、IBMの中心的なIaaSでベアメタルサーバが瞬時に起動できるという特徴がある旧SoftLayer(現Bluemix Infrastructure)、OpenStackベースのマネージドサービスである旧Bluebox(現Bluemix Private Cloud)、アプライアンスで“Infrastructure as code”を実現するPureApplication(現Bluemix Local)、の3つをBluemixに統合しました。これによって、Bluemixは、現在では単なるPaaSではなく、IBM Cloudの中核ブランドになっています。

図1-1:Bluemixブランド統合
図1-1:Bluemixブランド統合

Bluemix誕生の背景

 クラウドコンピューティングの世界は、2016年初頭の大手ITベンダーのパブリッククラウドからの撤退が相次いだことから、いわゆるメガクラウドに選別されてきたと言われています。このメガクラウドの特徴としては、IaaSとPaaSの両方を同じデータセンター内で大規模かつスケーラブルに提供しているという共通点があります。IBM CloudにおけるBluemixへの統合もその一環です。

 そして、IBMがIaaSをPaaSのブランドであったBluemixに寄せたということは、IBM Cloudでは、最初にPaaSへのデプロイを中心に考え、自由度を与えたい場合はIaaS、完成されたものを利用したい場合はSaaSも選択するというアプローチをとっているとも捉えることができます。

 一般的には、IaaSやSaaSから入った方が分かりやすいと思う方も多いと思いますが、なぜIBMはあえてPaaSからのアプローチを取っているのでしょうか。それは、実はBluemixが誕生した背景にも関係してきます。

 クラウドコンピューティングが普及するにつれ、その拡張性の高いインフラを自在に操作できるようになったことで、ピークに応じて自動で拡張したり、継続的にアプリケーションを改修して切り替えしたり、といった発展的なアプリケーション、いわゆるクラウドネイティブアプリケーションがクラウド上で標準になってきました。

 IBMは、従来型の基幹システムを“Systems of Record(SoR)”、新しい顧客との接点をもつシステムを“Systems of Engagement(SoE)”と定義していますが、SoEはまさにこのクラウドネイティブアプリケーションが適しています。SoEの世界は、顧客に直接面していることから、アプリケーション変更要求の頻度も高く、アクセスのピーク性も管理者が予想することが難しいため、インフラを自在に操れる必要があるためです。そして、デジタル化が進んでいる現在では、新規のシステム開発案件の多くはこのSoEとなります。

 IBMは、SoEを実行させる実行環境としては、当然ながらクラウドを考えています。つまり、Bluemixは、このニーズが急速に高まっているSoEの開発と運用をクラウド環境において最適に提供するために誕生したのです。

図1-2:SoRとSoE
図1-2:SoRとSoE

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

  5. セキュリティ

    こんなにあった!従来型SIEMが抱える課題──次世代SIEMに必須の“8つの要件”とは?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]