2016年には、世界最大のストレージ企業であるEMCがDellの傘下に入るなど、ストレージ関連でのビッグニュースがあった。しかし、これだけですべてが終わったわけではない。ストレージ業界における変革のペースは加速してきている。それはわれわれにとって喜ぶべき話なのだ。
ストレージ分野のペースは加速し続けており、その影響は時とともに増大している。デジタルストレージはデジタル文明の中心に位置しており、IT化が進めば進むほど、われわれはストレージ技術の進歩に依存するようになっている。本記事では、ストレージ分野で2017年に起こりそうなものごとについて解説する。
人工知能(AI)
人工知能(AI)がデータの蓄積を生み出すようになる。このため、ストレージの価値はより高まっていく。既に現在行われているように、誰かの身元を洗い出す目的で、画質の粗い監視カメラの映像や、ぼやけた人物画像、車のナンバープレートを、AIを使って読み取るといったことを考えた場合、その用途が何であれデータの蓄積に対する価値は高まっていく。
AI革命の勢いが日増しに強まるなか、研究者らはデータの蓄積から価値を生み出すために、機械知性のさまざまな応用分野を考え出すはずだ。われわれは民主主義社会に身を置いているという点を考えた場合、情報機関や企業におけるAIの使われ方に対して発言権を持つようになるはずだと願いたい。
不揮発性メモリ(NVRAM)
ノートPCに不揮発性メモリ(NVRAM)が搭載されるようになる。2017年はIntelから(そして願わくは他社からも)メインストリームとなる初のNVRAM製品が発売されるはずだ。IntelのNVRAM SSDによって1000倍もの高速化が達成されるわけではないが、速度と耐久性が増すのは間違いない。ただ、NANDフラッシュベースのSSDと比べると当然ながら価格は高くなる。
しかしより重要なのは、NVRAMと標準RAMを組み合わせるかたちでメインメモリを拡張した初のNVRAM搭載ノートPCが登場したり、業界が言うところのストレージクラスメモリ(SCM)としての利用事例が出てくるという点だ。新技術によって速度とコスト、密度の関係が新たなものになるというのは、目新しい話ではない。IBMが1979年に市場に投入した「System/38」でも同様のことが起こっている。高密度化によって、数百ギガバイト、さらにはテラバイト級のメインメモリを搭載したサーバやノートPCという世界への道が開けるのだ。