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クラウドの力で「リアルビジネスの破壊」を阻止したい--サーバーワークス大石代表 - (page 2)

飯田樹 山田竜司 (編集部)

2017-01-26 07:00

--イベントでの盛り上がりと現在の顧客の状況とに、温度差はないのでしょうか。

 確かに今の時点では、システムを全てAWSに移行する企業は多くありません。ただ、今回発表されたサービスを見て、AWSのサービスをひとつでも使い始めた企業は、五月雨式にその周辺にも導入していくようになるだろうと思いました。

 例えばコールセンターでIP電話のシステムを作るときに、今までならPBX(構内交換機)などを使っていたところを、IP電話と深層学習を用いて自然言語理解サービスと自動音声認識サービスを提供する「Amazon Lex」を組み合わせてクラウド化したとします。すると、通話の録音にはS3が使われ、録音した通話履歴の分析には、EC2が使われる……という流れで取り入れられ、最終的にはシステムが完全にAWSに移行されるようなこともあるでしょう。

 今まではわれわれもマーケティング的な側面から「全システムをAWSに持っていきましょう」と言っていましたが、これからは顧客から「全部AWSで」と要望されるのではないかと思っています。一部をAWSにするというハイブリッドも中間解としてはありえますが、最終解ではありません。例えば通信回線だけは既存のものを使おうとしても、仮想化されれば専用線で結ぶ必要がなくなります。顧客でもAWSと仮想マシンをつなぐのではなくSDNによって、全店舗網の仮想ネットワークを組む方も出始めています。

--AWSをシステムに全面的に採用するとなると、SIerのビジネスモデルは変わっていかざるを得ないという議論がさらに進展しそうですし、ユーザー企業も、システム運用はAWSに任せて、顧客との関係強化のために内製化に取り組むところが増えそうです。

 一部のSIerは今後も必要でしょう。なぜなら、クラウド化が進んでも公共サービスやインフラシステムを作る必要があり、需要は巨大だからです。一方で、民間のSI需要は減るでしょう。民間企業では、既存のパッケージでシステムの95%をまかなえる企業がたくさんあります。

 一方、SIの攻めのITなどの内製化をどこでも取り入れるかどうかはケースバイケースで、原則的には上手くいかないと思っています。

 理由は日本の労働環境です。米国で内製化が成功しているのは、プロジェクト単位の雇用が許されているからです。米国では新しい技術を導入する時に人を入れ替えられますが、日本ではそれができません。その時々のサービスに通じている専門家に頼む方が、ほとんどの企業にとって合理的な戦略です。

 ただし、顧客に直接触れる「カスタマーフェイシング」の部分だけは難しいと思います。例えばアパレル企業で、自社のイメージをつくる特別なウェブサイトを作りたい場合、パッケージだと横並びになってしまうため、差別化ができません。

--ウェブサービス会社など内製したウェブアプリで伸びている会社もありますが、それはひとつの解ではないのでしょうか。

 そういった企業はウェブが主戦場なので、特別なエンジニアを使った方が良いということだと思います。サービス自体が、徹底的に作り込まなければならないカスタマーフェイシングの5%の部分にあたるのです。他社よりも「イケてる」サービス、「イケてる」UIを作って差別化するためには、優秀な人を抱えて中で作ったほうが有利です。

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