--AWSはコミュニティが活発なのも特徴です。その熱量はどこからやってくるのでしょうか。
個人でも試すことができ、所属に関わらず参加できるため、シティズンデベロッパーのような人が現れやすいのだと思います。また、先行者の存在も大切です。機能は他のベンダーも追いつけますが、製品に対するパートナーが育ち、デベロッパーが育ち、マーケットに行き着くまではタイムラグがあります。今はクラウドもストレージも進化が早いため、1~2年の遅れは影響も大きいです。

「re:Invent」で偶然出会ったシリコンバレーに住んでいる方2人が、偶然同じことを言っていて驚いたことがありました。いわく「Amazonはサービスの出し方、広め方をわかっている。最新のテクノロジは出せば良いのではない。広めるためには、パートナーやデベロッパーが学習して、理解して、会社の意思決定として広がっていくステップが必要。Amazonはデベロッパーをトレーニングさせるための時間的な猶予や、マーケットに広がるメカニズムを理解しているから強い」というものでした。これも理由と言えるかもしれません。
---御社の展望を聞かせてください。
エンタープライズの顧客に、クラウドなど新しい道具の使い方をどんどんお伝えして、お客様がビジネスを変えていく支援を拡大したいと思います。今、私が危惧しているのは、日本のクラウドへのトランスフォームが世界に比べて遅れていることです。例えば、AWSの最大ユーザーと目されているNetflixは、クラウドを使ってビジネスをトランスフォームし、世界を席巻しようとしています。
その威力で、日本のレンタルビデオや配信ビジネスが衰退することも考えられます。このように、海外の企業がクラウドのパワーを使って、Uberがタクシー業界に打撃を与えたように日本のリアルなビジネスを潰していく現象も起こるかもしれません。そのため、クラウドという武器の力を伝えることで、リアルなビジネスが破壊されるのを防ぎ、成功するように支援するのがミッションだと思っています。