--続いて、Stephan Mellor氏、米国IICの現状は。
Mellor氏 IICはメンバードリブンな組織です。現在268社のメンバーがいますが、それぞれの意見が異なるため、方向性を決めるのが難しいところでもあります。メンバーの方向性を把握し、人を連携することを促進するのが私の役割です。単独でプロジェクトを進めるよりも、多くの人を集めて取り組んだ方が、プロジェクトは前進するからです。
米国IIC CTO Stephan Mellor氏
--今、どのようなことに注力していますか。
Mellor氏 IICとして注力しているフレームワークは2つあります。1つはIoTのセキュリティです。金融やヘルスケアの世界などでは特に、セキュリティが強く求められます。
セキュリティで課題となるのは、ITの世界の言語と、OT(operational technology)の世界の言語を合わせることです。例えば、「セキュリティ」とITの人に伝えれば、ウイルス対策やファイアウォールを想像しますが、OTの人は「入りにくくすること」 を想像します。2つの領域が重なっているのだと理解してもらうことが大切です。
2つ目がビジネスストラテジーのフレームワークです。どんな機会があるのかが分かっていないことが現在の問題です。1980年代に初めて「インターネット」というキーワードが出てきた時に、どういうことが可能になるかは誰も理解していませんでした。
現在のIoTは似たような状況にあり、何が可能かはまだ把握されていません。どういう機会が存在して、どういうリスクが存在するのかを捉えられる、新しい考え方が必要です。
--最後に、IICの展望をお聞かせください。
Mellor氏 IICにとって一番大切なのは、テストベッドです。過去数年にわたり、私たちは約25個のテストベッドをしており、ガイドラインもあります。
それでも、結果が足りていない状況で、今は大きな失敗が必要です。失敗ができれば、自分たちが最先端にいることを確認できるとともに、学びが得られて、進むべき方向が分かります。どんな標準化が必要なのかは、そこから学習すれば良いのではないでしょうか。