東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)は2016年12月12日、製造業向けの生産・販売・原価統合パッケージソフトの新版「MCFrame 7」を発表した。2017年2月1日に販売開始する。関連製品として、設計部門と生産部門をつなぐコミュニケーション基盤ソフトウェア「MCFrame PLM EM-Bridge」も用意した。
製造業の基礎体力の底上げを狙い、ゼロベースで再構築した。これにより、設計、調達、製造、物流などのバリューチェーン軸で情報を串刺しにする機能、PLM(製品ライフサイクル管理)、SCM(サプライチェーン管理)と工場内の製造情報の連携機能、情報活用基盤としての機能などを高めた。
東洋ビジネスエンジニアリング マーケティング企画本部 部長 山下武志氏
グループ企業向けには、データベースのマスター構造を柔軟にした。グループ全体で管理したいマスターデータを管理しながらも、グループ会社ごとで管理したいマスターも容易に展開できるような構造にした。また、将来的に業態が変わっても対応できるように、組立加工業やプロセス製造業など業務内容に応じて機能を自在に切り替えられるようにしている。
コミュニケーションを活性化させる機能としては、現場の情報やKPI(重要業績評価指標)を収集してダッシュボードで可視化する機能も提供。すぐに使える50シナリオ強のKPIをバンドルしている。
IoTで製造現場のトレーサビリティを向上
MCFrameをゼロベースで再構築した背景として、「製造業は今後、超コモディティ時代が到来する」点を挙げるのは、東洋ビジネスエンジニアリングのマーケティング企画本部で部長を務める山下武志氏。製造業は、これまでの10分の1の価格の製品を、10倍の物量で売るようになると表現する。
東洋ビジネスエンジニアリング マーケティング企画本部 部長 山下武志氏
コモディティ市場では、安くても高品質な製品を世界中にデリバリする必要がある。生産技術の自動化や、意思決定の自動化などの手法が求められる。組織がグローバルにフラット化していく中で、個々の工場だけでなく、世界をまたいで全体を管理する機能が必要になる。「結論として、IoTで現場データを収集して活用する仕組みが必要になる」(山下氏)。
現場データを活用する一例として山下氏が挙げるのが、トレーサビリティだ(図1)。不具合が出たロットが、どういった経緯で、どこから出荷されたのか、などを管理する際に、IoTデータを組み合わせることで、使われた工場設備の稼働状況まで分かるようになる。これにより、機械の異常が原因だったといったことまで判明する。
設計情報と生産情報を双方向に連携
MCFrame 7では、PLMソフト「MCFrame PLM/visual BOM」(図研の「PreSight/visual BOM」のOEM製品)との連携も強化した(図2)。
MCFrame 7に合わせて提供を始める新ソフトの「MCFrame PLM EM-Bridge」(B-EN-Gと図研が合弁で設立したダイバーシンクが開発)を使うと、設計情報と生産情報を、CADデータの段階で双方向に連携させることができる。
製造工程表の情報を管理して共有することによって、開発の初期段階から原価企画を支援できるほか、設計の段階で生産者から設計者に設計内容について要求する、いった運用が可能になる。
図2 設計情報と生産情報を双方向に連携させるミドルウエア「EM-Bridge」を新規に用意した