DevOpsやアジャイル開発を軸にソフトウェアやツールを提供するCA Technologies。多彩な製品を縫い合わせる役目として期待されるのがアプリケーションパフォーマンス管理(APM)だ。
同社のAPM担当シニアディレクターを務めるKieran Taylor氏は「アプリケーションの分析によりさまざまな技術を結びつけることができる」という。CAが2016年11月中旬、米ラスベガスで開催した「CA World 2016」で、Taylor氏にAPM分野の戦略と位置づけについて聞いた。
--CAにおけるアプリケーションパフォーマンス管理(APM)の定義、位置づけは?
CA Technologies APM担当シニアディレクターのKieran Taylor氏
10年以上前からAPM分野に取り組んでいる。アプリケーションのコードがどのように動いているのか、ボトルネックはどこにあるのかといった深いレベルの洞察がCAの技術の中心となる。
CA Worldでは「App Experience Analytics」を発表した。エンドユーザーの実際の体験を測定するために設計した製品で、モバイルでアクセスするユーザーを含め、ウェブサイトを使っている人がどのような体験をしているのかが分かる。具体的には、ページの読み込み時間、クラッシュなどだ。
以前はAPMはアプリケーションの分析にとどまり、ユーザー体験までは見ていなかったが、現在顧客はユーザー体験を見てアプリケーションが想定通りに動いているのかを評価したいと思っている。
App Experience Analyticsはユーザーからのリクエストが多かった機能で、エンドユーザーから見たパフォーマンスを測定し、これをソフトウェア、インフラ、クラウドなどアプリケーションを支える技術との関係の中で把握できる。
App Experience Analyticsには、ビックデータの収集、分析、それに視覚化のためのオープンソース技術であるELK(Elasticsearch、Logstash、Kibana)が含まれており、企業はすべてのデータを一箇所に集めてデータレークを作り、これをさまざまなデータの相関関係を見ながらアプリケーションが効率よく動いているかを知ることができる。CAだけでなく、Cisco、Huaweiなど他社の製品からのデータも活用できる。
アナリティクスはわれわれにとって全く異なるタイプの技術だったことから、2年がかりで開発した。データサイエンティストも起用した。われわれは主に買収を通じてさまざまな技術をそろえるが、アナリティクスはこれらの技術を連携できるツールになる。インフラ管理などのソフトウェアがデータをデータレークにエクスポートし、アナリティクスエンジンがこれを結びつけてくれる。
--APMの利用トレンドは?
業界としては、顧客が使うアプリケーションを利用する小売業、特にオンラインコマース、それにオンラインバンキングなどの金融、メディア・エンターテインメントなどがよく利用している。
利用のトレンドとしてDevOpsがある。APMはアプリケーションチームと運用チームとのコミュニケーションをさらに進めることができる。これまでAPMは主として運用側が利用していたが、開発側の利用が増えている。役割ベースのビューを提供するので、開発チームはテストチームともオペレーションチームとも異なるビューを利用して、アプリケーションの性能を知ることができる。
テストは現実世界の状況をシミュレーションする必要があるが、CAのAPMは運用環境にあるアプリケーションを測定している。開発チームはアプリケーションの性能に関するデータを取得してテストチームと共有し、テストチームはさらに現実世界に近い環境やシナリオをシミュレーションできる。