Deep Learning技術の活用が鍵になる
--コンテキストを理解するような際には、Deep Learningの技術の活用が鍵となりますか?
新しいDeep Learningの面白いところは、生のデータで学ぶことができるところです。従来型の機械学習の多くでは最初から教師ありで学習することが多かったのですが、Deep Learningでは生のデータを入れてさまざまなことを自己学習できます。その上で、途中や最後に教師がついて判断する方法がとれます。これによりAIの仕組みがかなり賢くなります。
例えば画像データを読み込んでその内容を文章で表現させようとした際に、従来型の学習では結果を表現する文章で主語である名詞の前に形容詞をつけるといった指示を教師がします。これに対して新しいDeep Learningでは、画像の情報を見て文章にしなさいと指示するだけでいいのです。
--Deep Learningでは、妥当な答えを得られるようになるまでにかなりの量の学習が必要になるのではないでしょうか?
画像の中の情報を文章で表現するような場合には、画像も、それを表現するためのテキストも万の単位で学習することになるでしょう。だいたいそれくらい学習すれば、画像の中のオブジェクトを認識できるようになります。
--Salesforce Researchの、ほかのAI研究にはない特長はどんなところでしょうか?
Salesforceのクラウドサービスにはさまざまな情報があり、それにアクセスできるのが特長の1つです。AIのためのアルゴリズムは確立しているものがあり、それをどうSalesforceのワークフローに組み込んで連携し、使えるようにするか。これを実現することで、10万社を超えるSalesforceの顧客がAIのメリットをすぐに享受できます。
このようなSalesforceの取り組みでは、力尽くのDeep Learningだけではなく、情報の意味を理解することが大事です。BtoBのビジネスでは、これは極めて重要なことなのです。とはいえ、機械学習による情報のパターン認識が意味がないわけではありません。赤ん坊が物事を学ぶのは、パターン認識から入ることからもそれは分かります。