企業は、モバイルアプリやIoTアプリの貧弱なセキュリティを突くサイバー攻撃により、簡単にハッキングされるのではないかと懸念を抱いている。しかし多くが、脅威への対策を講じていない。
IBMとArxan Technologiesの依頼によって実施されたPonemon Instituteの調査によると、モバイルアプリやIoTアプリに対する懸念が広まっているにもかかわらず、企業はこのようなテクノロジの採用を活発に進めているという。
「2017 Study on Mobile and Internet of Things Application Security」(モバイルアプリとIoTアプリのセキュリティに関する調査--2017年版)と題されたPonemonのレポートによると、多くの企業で何年も前からスマートフォンが当たり前のように使われているにもかかわらず、ほとんどの企業はモバイルアプリに起因する脅威に対して対策を講じていないという。
例を挙げると、ユーザーは悪意のあるアプリを、そうとは知らずにスマートフォンにダウンロードする可能性がある。そのようなスマートフォンが企業のWi-Fiに接続されると、該当スマートフォン上の悪意のあるアプリは、企業の全ネットワークに侵入できるようになる。
このような脅威の存在ゆえに同調査では、モバイルアプリ経由でのハッキングを懸念している回答者が53%にのぼっている。また、モバイルアプリをきっかけとするデータ漏えいやサイバー攻撃が過去12カ月間に発生していると考えている回答者が60%いる理由もここにある。
スマートフォンを取り巻くサイバーセキュリティ上の問題を考えた場合、セキュアでないIoT製品によってもたらされる脅威を企業が気にかけているのも不思議ではない。
パーソナルアシスタントから、幅広いインフラ(電球から発電施設までのさまざまなインフラ)を制御するセンサに至るまで、コネクテッドデバイスは先を争って市場に投入されるあまり、セキュリティへの考慮がまったくなされていないことがしばしば露呈する。Ponemonの調査によると、回答者の58%はIoTアプリ経由による組織へのハッキングを憂慮しているという。とは言うものの、モバイルアプリやIoTアプリを経由した組織へのハッキングを憂慮しているとした回答者のうち、44%がこの種の攻撃を防止するための手段を組織として講じていないとしており、11%は雇用者がそのような手段を講じているかどうかを知らないとしている。
Ponemonの創業者であるLarry Ponemon氏は、「回答者らは最低限の予算しか割り当てられていないと述べており、攻撃の抑止に責任を持つ人々はセキュリティ関連の職務ではなく、他の職務に忙殺されている。適切な予算と監督機構が用意されていなければ、こういった脅威に対して真剣に取り組んでいるとは言えない。このため、モバイルアプリやIoTアプリが今後の大規模なデータ漏えい事件の原因になったとしても驚くにはあたらない」と述べている。
この調査は、世界のITおよびITセキュリティ関係者593人を対象としており、回答者には、シニアエグゼクティブから一般スタッフまでが含まれている。
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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。