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映画を変革するCG技術(後編)--「スター・ウォーズ」への喝采と落胆

稲田豊史

2017-01-29 07:00

<前編はこちら>

 2009年に公開された映画「ターミネーター4」では、1作目の「ターミネーター」(1984年)で敵アンドロイド「T-800」を演じた「若き日のアーノルド・シュワルツェネッガー」がCGで登場した。CGは首から上だけで、首から下は別のボディビルダーの肉体に合成したものだったが、オールドファンを驚かせるには十分の見世物だったといえるだろう。

 その次作にあたるシリーズ最新作「ターミネーター: 新起動/ジェニシス」(2015年)に登場した「若き日のシュワ」はさらに進化し、大半の場面で肉体も含めて全身がCGで描画された。しかも、CGのリアリティは6年前の「ターミネーター4」とは比べ物にならないほど、圧倒的に高い。御年69歳のシュワを知らない若い世代が予備知識なしで「若き日のシュワ」を見ても、それがCGだとは気づかないだろう。

 そんななか、直近の映画界でもっとも話題になった「俳優の若かりし頃をCGで完全再現」といえば、2016年12月に公開された「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」をおいて他にない。

 「スター・ウォーズ」シリーズは1977年に第1作が公開されて以降、現在も続くSF映画の金字塔。その1作目に登場した若き日のレイア姫(キャリー・フィッシャー)を、最新作の「ローグ・ワン」においてCGで完全再現したのである。レイア姫の登場シーンは最後の最後に1カットのみだが、1作目のレイア姫と寸部違わぬ姿で画面に大写しになり、セリフまで発した姿にファンは驚き、歓喜の喝采を送った。そしておそらくは観客の多くが、「えっと……キャリー・フィッシャーの若作りメイクじゃなくて……CGのはず…だよね? それにしても……再現度、高すぎないか?」と戸惑いを隠せなかった。

 実は「ローグ・ワン」ではもう1人、第1作目に登場した帝国軍のターキン提督(演じたピーター・カッシングは1994年に逝去)をCGで復活させ、レイア姫よりずっと長い尺で芝居をさせている。

 こうなってくると、極論すれば「十分なデータさえあれば、どんな時代のどんな俳優のどんな演技でも、CGで作れるんじゃ?」という疑問が湧くのは当然だろう。

 本人不在でどうやって新しいセリフをしゃべらせるのかという点も、おそらく問題ない。Adobeが昨年開催した開発者会議「Adobe MAX 2016」で発表された「VoCo」というツールのプレゼンテーションはたいそう衝撃的だった。特定人物の発声データを音声認識でテキスト化し、そのテキストを任意の単語にテキスト上で書き換えると、なんとその人物の声で任意の単語が発されるのである。

 要は、その人物が一度もしゃべっていない単語ですら、彼の声で言わせることができるのである。それに必要な音声データは、翻訳記事によれば「20分程度の1つのスピーチ」というから驚きだ。俳優に当てはめるなら、過去に出演した映画のシーンをいくつか集めるだけで、本人不在のまま新規にセリフをしゃべらせられる。あとはCGの唇とのリップシンクさえ精密に行えばよい。

 CGの長い歴史の中で、一番難しいとされていたのは、人間を描くことだったが、現在の技術ではそれがほぼ達成されている。ということは理論上、モノにせよ人にせよ、世の中に存在するあらゆる事物はCGで生成できるということなのだろうか。

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