広友レンティアとDNP、日本IBMは1月16日、「レンタル品管理システム」を構築したと発表した。同システムは、金属製品に取り付けても安定的にデータを読み取れる「DNP金属対応広指向性ICタグ」を活用し、金属製の什器や機器などのレンタル品を簡便、確実に管理できるようにするもの。
さらに、ビッグデータ分析によって稼働率の向上や在庫保管コストの低減を支援する。広友レンティアでは、約100万個のICタグを机や椅子などのオフィス家具に取り付け、2月から全国に展開する予定。同システムを通じた在庫適正化などにより、5〜6%の収益改善を見込む。また、人的要素の強かった在庫管理にIoTを導入することにより、人手不足という業界共通の課題に取り組んでいくことを内外に発信していく予定とのこと。
オフィスやイベント会場などでは、レンタル品の机、椅子、収納棚といった什器、パソコンや複写機といったOA機器などが、広く用いられている。それらのレンタル中の紛失を防ぎ、レンタル資産の利用効率を向上させるため、ICタグにより個々の品についての在庫や入出庫、使用履歴などの管理を効率化する取り組みが行われている。
これまで、テーブルやロッカーなど金属製のレンタル品では、金属の影響によりICタグの読み取り性能が低下することが多く、その活用が限定されていた。これに対しDNPでは2016年1月、金属製品に取り付けても安定して読み取りできる「DNP金属対応広指向性ICタグ」をフェニックスソリューションと共同で開発している。ICタグを取り付けた金属製品そのものをアンテナの一部として活用することで電波の指向性を拡大させ、金属の背面に取り付けたり、複数の金属に挟まれたりしていても読み取りが可能になったという。
DNP金属対応広指向性ICタグ
ハンディータイプのリーダによるICタグ読み取りイメージ
今回、この金属対応ICタグを用いて、金属製の什器や機器などのレンタル品の管理がより簡便で確実に行えるシステムを、広友レンティアとDNP、日本IBMの3社で開発した。DNPは「DNP金属対応広指向性ICタグ」の提供を、広友レンティアはICタグを使って実証し、日本IBMは物流業に知見のあるコンサルタントがICタグ導入のコンサルティングからICタグのデータと出荷情報を連携させ、ビッグデータ分析を可能とするシステムの構築を担当している。
同システムは、レンタル企業の保管場所からの出庫、オフィスやイベント会場への搬入、レンタル終了後の搬出、保管場所への入庫、メンテナンスといったプロセスごとにICタグを読み取って管理するだけでなく、この情報をビッグデータ分析することで、各レンタル品の稼働率や購入から廃棄までのコストと収益を管理できるようになり、単品ごとの適切な購買、廃棄の判断も可能。これにより、稼働率向上、在庫保管コストの低減、計画購買精度の向上による仕入費用の低減を図ることが可能になるとしている。
フォークリフトにレンタル品を載せて、一括で読み取ることも可能
開発した3社は今後、広友レンティアのオペレーションの効率化に加え、今後は、レンタル商品のユーザー企業に対して、モバイルアプリやAPI提供などの方法で、現在レンタル中の商品のタイムリーな照会を可能にしていく。