経営レベルでの変化
離職率の低下+採用の加速
作らない社内システムの実践→全ての社内ITのクラウド化→ワークスタイルの変化、という3段階の変化が訪れた結果、目に見えて離職率が低下しました。実はクラウド事業を始める前は、普通のオフィスに普通のワークスタイルだったのですが、そのときはやはり業界平均並の離職は継続的に発生してしまっていました。
ところが、こうした新しいワークスタイルを取り入れることによって離職率が低下しただけでなく、大阪や福岡など、当社がこれまで手が届かなかった地域で非常に優秀な人材がジョインしてくれるようになり、明らかに採用面でも有利になることが増えてきました。
優秀な人材は新しいことにチャレンジしている会社を好みます。会社が本当に良い人材を採用しようと考えるのであれば、良い仕組み、良い環境を準備する必要があります。
社内のエンジニアが「使うのか使わないのか、役に立つのか立たないのか分からない、ユーザー部門の本質的でない画面やボタン配置などのリクエストに翻弄される」ような環境は当然敬遠されます。優秀な人を採用するためには、会社にそうした人を受け入れる環境整備への理解が求められることは当然だと考えます。
バックオフィス業務のスリム化
「作らない社内システム」の実践によって、社内システムを作る(正確に言うと、不必要なコードを書く)メンバーが必要なくなった結果、社内の情報システム部門がシステム規模の割にスリムにすることができました。端末にデータを残さない運用のため、よくある「社内の情報システム部がPCのお守りに追われる」こともほとんどありませんし、非常に本質的な「経営に直結する」または「会社の競争力に直結する」情報システムチームが実現できていると自負しています。
また、各種データがクラウド間で連携しているため、仕事のための仕事、のような業務を極端に少なくすることにも成功しました。例えば取締役会のレポートのような情報はクラウド上のBIツールから取得できますし、エンジニアの稼働状況などはクラウド上の勤怠管理システムでリアルタイムに閲覧可能です。データソースがクラウド上にあることで、最新のレポーティング用SaaSなどの恩恵にあずかることができ、これが不必要な業務の削減にも寄与しています。
売り上げアップ
われわれは、自分たちのオフィスを「作らない社内システム、というコンセプトを実際に試してみたショールーム」と位置づけており、たくさんの顧客に実際にオフィスや働き方そのものを見て頂いています。この結果として「こういう環境を手に入れたい。クラウドの導入を手伝ってほしい」とオーダーされる機会が増え、会社の売上増に貢献しています。
ITの業界には、”eating your own dog food” という言葉がありますが、会社として打ち出すコンセプトやサービスがあるなら、まずは自分たちで試してみなければ説得力がありません。私たちが言っている「作らない社内システム」というコンセプトは、机上の空論ではなく、自分たちが実際に試してうまくいっているからこそ説得力があるのだと認識しています。