最近では、新聞を開けば(今や「ウェブブラウザを開けば」というべきかもしれない)、人工知能(AI)に関する話題を目にしない日はないと言ってもいい状況になっている。
いずれ破壊的な変化に直面することが避けられないのであれば、現在のAI技術に親しみ、導入に備える必要がある。
Googleの「AlphaGo」がとうとう人間のトッププロに勝利したといったような、大きなニュースになったブレークスルーは、AIの黄金時代到来の前触れだと言える。それに加え、Appleの「Siri」やAmazonの「Alexa」などに見られるパーソナルアシスタントの人間らしさの獲得や、Salesforceによるアルバート・アインシュタインの「復活」、AI関連スタートアップの急速な増加など、AIに関する話題は耳障りに感じるほどほど多い。
控えめに言っても、これは企業にとって分かりにくい状況であり、ビジネスリーダーはどれが本物で、どれが紛い物かを判断しようとしている。AIは変革の期待に応えられるのか、それとも過熱した期待に応えられなかった、もう1つの期待外れの技術になるのだろうか。
ForresterはAIが今後徐々に、企業が顧客を獲得してサービスを提供し、維持する方法を大きく変えていくと考えている。これを実現するには、AIシステムに人間を置き換えられる能力を持たせるトレーニングができるだけの、大量のデータが必要になる。
AIは企業に入り込みつつあり、開発者はAI技術を利用して、ビジネスプロセスを変えたり、人間の能力を補完するアプリケーションを作ろうとしている。Forresterは、独自に開発した厳格な調査手法「TechRadar」を用いて、最も有望な13のAI関連技術を選んで評価し、各カテゴリの成熟度を調べ、将来どの程度成功するかを予想した。以下に調査結果の要点をいくつか挙げてみよう。
人間と機械の知能を併用した場合に、最も効果が高くなる。AIによってテクノロジ分野の雇用が減少するという懸念には、あまり根拠がない。今のところ、ほとんどのAIシステムは、人間の従業員を置き換えてはいない。AIは多くの場合、人間が行うには費用が掛かりすぎるか、厄介すぎる価値の低い業務に利用されている。
データの重要性がさらに高まる。「ゴミを入れれば、出てくるものもゴミになる」という法則は、AIシステムには特に顕著に当てはまる。特定のタスクを実行するには、大量のトレーニングデータを使った学習が必要になる。一部のベンダーはトレーニングの準備のためのソリューションを提供しているが、ほとんどすべてのAI投資案件では、導入の前に追加的なトレーニングや調整が必要となるだろう。
利用ケースを絞り込むほど、よい成果が得られる。AIの機能を適切に利用するために必要な時間とトレーニングの量を考えれば、純粋な汎用AIが実現するのは遠い未来の話だ。AIシステムを実装して、ビジネスで本当の成功を収めている企業は、ユースケースの幅を絞り込んでおり、AIは限られた領域のスペシャリストとして利用されている。
今は、ビジネスの歴史の分水嶺的局面に差し掛かっている。企業がどのようにAIを導入し、実装するかによって、その企業が近い将来成功するかどうかが決まるだろう。いずれ破壊的な変化に直面することが避けられないのであれば、現在のAI技術に親しみ、導入に備えるべきだ。
なお、Brandon Purcell氏はForresterのシニアアナリストであり、主に顧客のインサイトプロフェッショナルにサービスを提供している。Brandon氏のLinkedInページはこちら。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。