PagerDutyの創業者らはAmazonでのこうした経験を通じて、解決を必要とする問題に対する洞察を得た。そしてそれに取り組み、緊急を要する修理依頼などへの対応プロセスを自動化できるアプリの開発に必要な資金を獲得した。
同氏は、IT運用のシフトを目のあたりにしていたため、タイミングがよかったと述べ、「従来のIT運用は、担当者を割り当て、点滅する赤ランプを夜ごとに監視させ、(障害時には)問題の切り分けや、対応可能な担当者レベルへのエスカレーション、修復できる担当者への連絡を行わせるというものだった」と述べた。
このシフトは、企業が「包括的なサービスの所有権」を人々にもたらしたいと考える世界への移行だったと言える。つまり、これによってサービスやコードを構築した開発者が、本番稼働に入った後にも100%責任を持つようになったのだ。
これは、責任をたらい回しにするのではなく、電話1本で1人の担当者が責任を持って作業を進めていくようになるということを意味している。
PagerDutyの世界では、開発者があるサービスに対して100%の責任を負うようになるため、該当サービスの立ち上げと稼働に100%の責任を負うチームでの対応が可能になる。
Tejada氏は「われわれは、今や多くのものごとが非常に早いペースで起こっているという点を認識した。その結果、デジタルビジネスをバックアップする業務の最前線に立つPagerDutyに行き着いたのだ」と述べた。
「1日のリリース頻度が増えてきているという話もある。サービス間の依存性によって生み出される不整合によって、障害というレベルではないものの、計画通りに運用できない日が増えてきている」(Tejada氏)
他にも変わってきている点として同氏は、開発者が顧客エクスペリエンスの前線に登場するようになってきている状況があると述べた。また、「売り上げの柱がデジタル資産にシフトしてきている」という理由1つをとっても、「最近では、デジタルビジネスの構築方法について真剣に考えなければならなくなっている」と述べた。
つまり、開発者は今やバックボーンのイネーブラーだけではなく、「エクスペリエンスのアーキテクトでありデザイナーでもある」のだ。