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日本株展望

大統領がでたらめでも何とかなるほど好調な米経済 - (page 2)

ZDNet Japan Staff

2017-01-31 11:59

米国を弱体化するトランプノミクス、4つの大問題

 トランプ氏が打ち出す経済政策は、短期的に米景気を強くする可能性はあるものの、長い目で見るといずれも米経済を弱体化するものだ。以下の4つの問題点が挙げられる。

(1)景気回復期に大規模景気刺激策

 トランプ大統領がまだ何もしないうちに、米景気は回復色を強めている。にもかかわらず、トランプ大統領はここから大規模な公共投資を発動する方針だ。

 大規模景気刺激策には副作用が多いので、深刻な景気悪化局面以外は回避すべきだ。大統領の人気取りのために景気回復期に大規模公共投資をやれば、後に経済効率の悪化と財政赤字の拡大を生じる。さらに、大規模な「財政のガケ」が米景気を悪化させる問題もある。

 大規模公共投資は、始める時は景気を上向かせて歓迎されるが、後に反動で景気を下押しする問題がある。それは、日本や中国が経験してきたことだ。たとえば、10兆円の公共投資をやれば、その年の景気にはプラスに働くが、次年度以降にはマイナス効果が及ぶ。毎年10兆円の公共投資をやり続けることはできず、公共投資額を減らさざるを得なくなるからだ。

 オバマ前大統領も、就任直後は公共投資を増やして米国民に喜ばれたが、後に財政の崖が景気に悪影響を及ぼす時には米国民から嫌われた。

 中国は、リーマンショック後の2009年に、4兆元(約66兆円)の公共投資を実施した。それで中国景気は急回復し、世界的な景気回復を牽引した。この時は、中国の4兆元投資が世界経済を救ったと言われた。

 ただし、中国はこの時に膨らんだ非効率な投資の整理と財政の崖に、その後長く苦しむことになった。4兆元の投資をやって良かったといえたのは、当初1年だけだった。

 トランプ氏が公共投資の大判ぶるまいをすれば、後に禍根を残すことになるだろう。トランプ大統領の考えに従うならば、米国は「メキシコ国境の壁建設」や「老朽インフラの更新」などに巨額の資金を投入することになる。新たな付加価値を生まない非効率な投資が増え、短期的に米景気を押し上げるものの、後に経済効率の悪化と財政の崖を残すことになる。


twitterで放言を続けるトランプ氏

(2)保護貿易主義

 米国はかつて長い間、鉄鋼産業を保護していた。その結果、米国の鉄鋼産業は競争力を失い、米国の自動車産業は高い鉄鋼製品を買い続けなければならなくなった。

 鉄鋼産業の例に限らず、競争力の弱い産業を保護するとさらに弱くなり、保護するためのコストがどんどん膨らむのが常だ。

 未来の技術を育てるために、技術開発企業を支援することが必要な場合はある。ただし、トランプ大統領がやろうとしていることは、技術革新に遅れた企業を温存するための保護主義であり、長い目で見て米経済を弱体化させると考えられる。

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