次世代ITに呼応する宇宙ビジネス

他業種を変革する衛星データ--AIやクラウドの進化に応える宇宙ビジネス - (page 2)

八亀彰吾

2017-02-10 07:00

 この衛星利用サービスの一例を紹介するには、測位衛星の代表例であるGPS衛星から取得できる位置情報を活用したサービスが適切だ(測位衛星については後半解説)。

 GPSの受信端末はスマートフォンなどに内蔵されていることから、馴染み深い人も多い。2016年世界的に大流行したポケンモンGOは、GPS衛星から送られてくる信号を活用したアプリであり、これは立派な衛星利用サービスと言える。

 この衛星利用サービスは、使用している人工衛星の種類によってさまざまなサービスが存在するため、今回はその人工衛星を、「リモートセンシング衛星」「通信衛星」「測位衛星」の3つに分けて話を進めようと思う。

AI、ビッグデータ、クラウドサービスが衛星ビジネスを加速させる

 リモートセンシング衛星(リモセン衛星)はGoogleマップやGoogle Earthで見られる上空からの画像をイメージしてほしい。

 従来のリモセン衛星は、1機数百億円する大型で高性能な人工衛星(重量は数トンに達する)が主流であり、軍事・防衛目的、災害時の被害状況監視、広大な土地を有する森林の監視などに活用されている。

 一方、画像1枚当たりの価格が高額であることや、人工衛星の機数が少なく撮像のタイミングが限られることから、ユーザーにデータが提供されるまでに時間がかかることなどが大きな課題となってきた。そのため、民間のビジネスにマッチする価格や頻度でのデータ提供ができていなかった。

 しかし近年は、ICT関連の各種機器や通信技術が高度化、小型化、低価格化していることなどを受けて、安価な小型・超小型衛星(数kg~数百kg程度)を数十機~数百機活用した「衛星コンステレーション」構想が数多く生まれている(衛星コンステレーション:同型のリモセン衛星を複数機同時に利用することで撮影頻度を向上させる。図表3)。


リモセン衛星の変化(図表3)

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