近年ICT技術の発達により衛星通信の性能が飛躍的に向上したことを受け、通信衛星のコンステレーション計画に再度注目が集まっている。
その代表例が米国のOneWebとSpaceXである。両社は数百kgの安価な小型通信衛星を高度約1200kmの低軌道に整備する計画を表明。OneWebは約650機、SpaceXは約4000機もの通信衛星のコンステレーション計画を打ち出している(図表4)。
OneWebとSpaceXの動向(図表4)
とんでもない計画だと思われるかもしれないが、両社の構想は夢物語ではなく実現に向け確実に進んでいる。これらの計画が実現すれば、世界のどこにいても品質の高い衛星通信が安価に利用できる様になるだろう。もちろん誰も住んでいない無人島でも。
特に地上の通信インフラが未発達なアフリカや南米、また洪水被害などが多く地上インフラが被害を受けやすい東南アジアの新興国などを中心に、非常に大きなニーズが存在すると考えられる。
これら今後経済発展する新興国に存在する数十億人のマーケットは、さまざまな分野の企業にとって非常に魅力的であることは言うまでもない。彼らは大規模な通信衛星コンステレーションを通じて、残された数十億人のマーケットに対してアクセスできるインフラを提供し、数多くの大企業から莫大な投資を呼び込むことに成功していると言える。
今後は彼らの整備した衛星通信網を活用し、さまざまな産業で残された新興国マーケットの争奪戦が繰り広げられる時代が来るのではないだろうか。
位置情報を活用した自動化社会の実現
最後に測位衛星について記載しよう。測位衛星といえば米国が提供するGPSが最も有名である。測位衛星は衛星を活用して地上の位置情報を提供する衛星であり、スマートフォンなどに内蔵されているGPSの受信端末と複数のGPS衛星が通信し地上の位置を特定している。
しかしGPS衛星以外に測位衛星は数多く存在する。欧州ではGalileoという測位衛星を打ち上げており、中国はBeiDou、ロシアはGLONASS、インドはIRNSSという測位衛星網の構築を進めている。