Azure導入の勘所

Azure導入の勘所--費用対効果を最大化するクラウド移行

村上愼一 2017年02月20日 07時00分

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 ここまでAzureの最新状況や企業におけるクラウドの取り組み状況を第1回に、そしてPaaSをいかにしてビジネスに取り込むかという観点での解説を第2回に取り上げてきました。

 今回はより具体的なクラウド活用時の注意点や活用のポイントについて解説します。

クラウドサービスに対する誤解

 日本では、クラウドサービス=IaaSという理解が先行した時代があり、クラウドを単なる安価な仮想マシンサービスとだけ理解しているケースが少なくありません。当然、この理解は誤りではないです。ただ、クラウドサービスの価値を最大化しようとした場合、この理解だけで利用を進めると期待を裏切られる結果につながりがちです。

 「クラウドを利用したけど、思ったほどコストが下がらなかった」という意見を良く耳にします。これは正しくIaaSだけを念頭にクラウドサービスを利用したケースといえます。また、IaaSとしてでの利用でも、クラウドを利用する上では、それなりの勘所があります。

 そもそも従来の企業システムは非常に高価なエンタープライズサーバや汎用機で動作させることを前提に構築しているシステムではないでしょうか。では、なぜ、エンタープライズサーバや汎用機は高価なのでしょう。

 その答えの多くの部分は“信頼性”だと言って間違いありません。ほとんどのエンタープライズサーバや汎用機は優れたRAS(Reliability、Availability、Serviceability)を提供しています。多くのサーバベンダーは、この優れたRAS機能を実装するため多額の開発費を投入し、高機能サーバを市場に投入しています。

 その結果、99.999%というような高い可用性が実現されてきました。アプリケーションはこのサーバが提供する高可用性に下支えされ、結果として信頼性の高いシステムが構築されてきています。言い換えれば、「企業は高価なエンタープライズサーバに投資することにより、高い信頼性のシステムを導入してきた」と言えます。

 では、IaaSではどうでしょうか。

 IaaSのクラウド基盤は一般的に高度の汎用化されたコンピュータをクラウドOSで管理し、仮想マシンをサービスとして提供しています。「高度に汎用化された」とは、サーバベンダーが今まで多額の投資をしてきたRAS機能などは取り払い、コンピュータとして動作するために必要最低限なCPUやメモリ、それを接続するバスやネットワークだけに削ぎ落とすことだと言っても過言ではありません。

 その究極まで削ぎ落とされたサーバを大量に、かつ安価に調達してクラウドとして提供しているのがIaaSシステムの正体です。だからこそ、同等の性能要件で比べれば、エンタープライズサーバとパブリッククラウドサービスの仮想マシンではクラウドサービスの方が安価に調達できるのです。

 では、そのクラウドサービスに従来環境で動作していたワークロード(アプリケーション)をそのまま移行したらどうなるでしょうか。

 当然、今までエンタープライズサーバが担ってきた高可用性を実現することはできません。Azureなど多くのパブリッククラウドサービス(IaaS)では、単一仮想マシンではSLA(Service Level Agreement)すら提供できません。

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