企業決算

1人当たり売上高が過去最高--最高益更新の大塚商会 - 21/28

大河原克行

2017-02-02 08:37

 大塚商会は、2016年度(2016年1~12月)の連結業績を発表した。売上高は前年比5.6%増の6434億円、営業利益は6.4%増の396億円、経常利益は6.6%増の407億円、当期純利益は12.5%増の266億円となった。

 大塚商会の大塚裕司社長は「7期連続の増収増益。最高益を更新した。前年度は微増収微増益という状況だったが、2016年度は大塚商会らしい成長に戻ってきた」と語りながらも、「連結営業利益は、計画に未達。この2年連続での計画未達が続いている。8期連続の増収増益、公表数値の達成を目指したい」と手綱を締めた。

大塚商会の大塚裕司社長
大塚商会の大塚裕司社長

 2016年第4四半期(2016年10~12月)は、売上高が前年同期比3.4%増の1606億円、営業利益が9.3%増の102億円、経常利益が9.3%増の105億円、当期純利益が16.5%増の69億円となった。「第4四半期実績も過去最高を達成した。収益は健全な成長を遂げている。

 複合提案率(クロスセル)は、2015年度第4四半期は20.1%であったが、2016年度第4四半期は27.4%と上昇している。だが、期待しているところまでは伸びきっていない。改革すべき点がある」などと述べた。

 通期のセグメント別連結売上高は、システムインテグレーション事業が前年比6.6%増の3763億円。サービス&サポート事業が4.4%増の2666億円。その他の事業が3.9%増の4億円となった。

 「システムインテグレーションは順調に推移。セキュリティ対策やモバイル端末の需要を喚起するソリューションに力を注いだ」という。

 複写機の販売台数は、前年比7.7%増の4万4583台。そのうち、カラー複写機が9.6%増の4万20601台。PCは、7.4%増の85万4876台。サーバーは12.7%減の3万2917台。タブレットを含むクライアント合計では6.7%増の90万4393台となった。

 「JEITAでは、PCの出荷台数は、前年比3.5%減となっており、それに比較すると、まずまずの実績になったと見ている」とした。

社員数増、1人当たり売上高は過去最高

 2016年の正社員数は、前年に比べて151人増加して、8538人。1人あたりの売上高は7535万円と、前年比274万円増となり、過去最高になったという。

 大塚商会単体の売上高は、前年比4.4%増の5841億円、営業利益は7.2%増の361億円、経常利益は7.5%増の374億円、当期純利益は14.5%増の247億円となった。金額ベースでは、全業種でプラスになったという。

 そのうち、重点戦略製品の売上高は「たのめーる」が前年比5.0%増の1460億円、オリジナル統合業務ソフト製品の「SMILE」が6.7%減の97億円、ナレッジマネジメントシステムの「ODS21」が12.0%増の517億円、セキュリティビジネスの「OSM」が13.5%増の679億円となった。

 「保守サービスの契約が伸張している一方で、たのめーるは後半減速している。たのめーるは、低収益部分を削減したのが影響しているが、工具や介護用品などの品揃えを充実させた。SMILEは、マイナス成長が続いているが、基幹システムの見直しや、ラムサムウェア対策として導入するといった動きも出ている。セキュリティも堅調である」とした。

 オフィス向けサプライ通販の「たのめーる」は132万559口座、個人向け通販の「ぱーそなるたのめーる」は34万7041会員に達した。ASPは193万人が利用。そのうち、Office365では16万ユーザーが利用しているという。サプライと保守契約を含むストックビジネスの売上高は2506億円、構成比は42.9%に達したという。

 電力関連ソリューションでは、売上高は65億円。「新電力の取り扱い開始とともに成長しているほか、ドアオープナーとしての役割も果たしている」という。

 なお、連結子会社のネットワールドは、VMwareから委託されていた自営保守がなくなったことが大きなマイナスに影響したが、後半から自治体向けネットワーク、ストレージ、セキュリティ関連ビジネスで巻き返した結果、売上高は785億円(前年度は668億円)に達し、前年実績を上回ったという。

 2017年度(2017年1~12月)の業績見通しは、売上高が前年比4.3%増の6710億円、営業利益が3.3%増の410億円、経常利益が2.0%増の416億円、当期純利益が2.3%増の272億円を目指す。

 セグメント別売上高見通しは、システムインテグレーション事業が4.1%増の3917億円、サービス&サポート事業が4.6%増の2789億円、その他の事業が10.2%減の3億円とした。

 大塚商会では、2016年の方針として「オールフロントでお客様の困ったを解決し、信頼に応える」とし、地域営業部主体の運営による現場力および顧客接点の強化、顧客との取引品目の拡大やクロスセル、ITを活用した働き方改革支援、セキュリティの高度化への対応、新技術対応への取り組み強化、光回線およびネットワークソリューション提案の強化を図る。

現場主導の営業体制に

 同社では、2016年8月から、本部主導から現場主導の営業体制にシフト。営業部や支店で独自のスローガンおよび活動方針を打ち出した地域営業部を主体とした運営を開始した。「商品軸から地域軸への現場運営を変更し、より顧客に密着し、地域ごとに異なるニーズに応えるようにした。地域スローガンはバラバラであり、営業部ごとの個性が出ている。答えは現場にある。結果にコミットすることで、権限を委譲する。営業部長は『地域の社長』に位置づけている。これにより、現場の活力が戻ってきたと考えている」などとした。

 さらに、「当社が取引をしている企業の65%が、PCなどの1つの製品しか取引がない。オフィスのなかには当社が取り扱う製品カテゴリが7種類以上あるが、これは他社から購入しているということでもある。数年前から、オールフロントの体制でなんでも売れる体制にしてきたが、結果的には部分最適になっていたところがあった」などと語った。

 また、「国内外ともに先行きの不透明感はあるが、緩やかな景気回復が継続するとみている。コピー用紙の出荷トン数は、4~5%増となっており、与信も9割方通っており、金融不安もない。リストラをしている会社も少ない。一方で、攻めのIT投資と生産性向上、コスト削減ニーズが高まり、AIやIoTなどの新たなIT技術への関心の高まりが見られている。

 さらにはテレワークの導入や残業削減などの働き方改革への広がりも期待できる。企業のIT活用ニーズや省エネニーズは底堅い」と市場環境を予測。残業削減ソリューション提案などにも力を注ぐ姿勢を示した。

 なお、同社では、プライベートイベントである「実践ソリューションフェア」を、東京(2月8日~10日)、大阪(2月15日、16日)、名古屋(2月22日、23日)に開催する予定であり、会期中に2万4000人の来場者を見込むとしている。

下記は発表会のスライド

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