地方金融機関で拡大するFinTech--IT支出額は3年で3倍に - (page 2)

飯田樹

2017-02-03 07:00

「チャネル強化」「地方創生」がキーワードに

 現在の国内金融機関は、ITを活用した収益拡大施策を加速している。新規顧客の開拓に必要とされる「チャネル強化」では、銀行は各チャネルを有機的に連携する「オムニチャネル化」を図っているほか、顧客向けサービス強化と業務効率化に向けた機械学習などのAIやロボティクスの活用も模索中だ。

 保険では、コールセンターの業務効率化に向けたAI活用が進んでいる。証券では、各社間での差別化に向けたモバイルサービスやロボアドバイザーなどのニーズが高いとのこと。


国内金融企業の環境と収益拡大施策(IDC提供)

 大都市圏以外の地域経済の停滞が深刻化するなか、地方創生へのさまざまな取り組みも行われている。地域金融機関が顧客企業向けの経営支援強化のために、金融機関、税理士、FinTech関連のスタートアップ企業と連携するケースが増えているほか、ブロックチェーンを活用した「地域通貨」の展開を模索する銀行もある。

 また、コグニティブ/AIシステムがメガバンクや大手保険会社を中心としたコールセンター、保険金支払査定などの業務支援に採用されている。IoTは、損害保険の「テレマティクス」サービスで活用が進んでいるものの、ソニー損害保険の個人向け「テレマティクス保険」以外は、安全運転支援が中心となっている状況。だが、生命保険会社でもIoTを活用した「健康増進型保険」の検証が始まっているほか、保険会社以外の金融機関でも、ATMなどの運用効率化などを目的としてIoT採用を検討するケースもあるとのことだ。

地方金融機関でFinTechは拡大する

 同社が今回発表したレポートでは、ITを活用して提供する「個人資産管理」「金融情報/投資支援」「テレマティクス保険など」「会計/経営支援」「ソーシャルレンディング/クラウドファンディング」「決済」「暗号通貨」「ブロックチェーン」の8分野の金融関連サービスを「FinTech」と定義し、それらの「FinTech」を提供するスタートアップ企業を「FinTechスタートアップ企業」と定義している。


IDC提供

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