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実体化してきたドローンビジネス--市場が拡大する2017年(後編) - (page 3)

神原奨太(テラドローン)

2017-02-16 07:00

 農業分野では国際的にいわゆるマルチコプターが注目される以前から、無人ヘリコプターによる農薬散布の歴史がある。現に日本の市場に出回る米の3分の1は無人ヘリを活用した農薬散布によって栽培されている。今までは無人ヘリコプターによる散布のため、操縦の技術難易度・費用が高かった。マルチコプターが普及することで、より安価により小回りの効く農薬散布が可能となり、小規模な農家においてもドローンによる農薬散布が広がっていくと考えられる。

 さらに2017年に最もドローン利用が注目されている業種がインフラ点検の分野だろう。インフラ、特に橋梁などの点検では高所作業用の足場が必要となり、一度の点検に大きなコストがかかっていた。

 法定点検で、人間による目視点検や打突点検が義務付けられている側面もあり、2015年までは研究開発にとどまっていた。しかし、2016年国交省の「次世代社会インフラ用ロボット現場検証委員会」によってインフラ点検においてもドローンの活用が前向きに議論されており、状況が変わる可能性もある。

 最後にドローンのビジネス利用と言うとよく挙げられるのが、物流・配送分野であろう。物流の分野においては、ドローン活用が当初から声注目を集めているが、まだまだ技術的・規制的・人々の心理的な受容度などの点で、実現への課題は存在する。一方で、Amazonや楽天は実証実験を繰り返し実施しており、一足飛びに利活用が進む可能性も大いに存在する。

 実際にドローン配送を実現するためには、運行管理システムの安定稼働が必須である。運行管理のインフラ整備、各ドローンの性能、特にバッテリー性能の向上による持続飛行距離の増大や、万が一の事態における安全性の確保制度などが整った段階で、実用化が進んでいくだろう。


 まずは比較的安全な地域における安全性の実験や、緊急性の高い医薬品、重要な日用品などの輸送がメインになると思われるが、今後性能が向上するにつれて、広範囲におけるドローン配送が広がっていく可能性がある。

 それぞれの分野における詳しい説明、主要なプレイヤーなどの紹介は次回以降に譲る。

2017年の見通し

 2017年は前述の通り、日本国内では特に点検業務におけるドローンの活用が促進される可能性がある。また、2016年の流れを汲み、土木測量・農業分野におけるドローン活用もより一層拡大を見せていくだろう。

 ドローン配送や目視外での点検、救助活動への利用に向けて、無人機運行管理システム(UTM)の研究開発も進んでいく。すでに述べたように、日本政府はすでにUTMの実証実験に対して相当の予算を確保しており、その中で世界標準と足並みを揃えながら、日本国内の安全安心な運行管理システムを組み上げていくだろう。

神原 奨太
テラドローン株式会社 事業開発部 UTM(無人機運行管理システム)事業責任者
早稲田大学政治経済学部を卒業後、アクセンチュア株式会社入社。アクセンチュアストラテジー(戦略コンサルティング本部)にて、政府・国内外の民間企業の戦略策定・新規事業立案・業務改革に従事。2016年よりテラドローンの設立に参画。同年後半より現職。ドローン業界全体の国内外の情報を体系化し、テラドローンにおける戦略策定も兼務。ドローンビジネスを展開している。

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