医師や精神科医はすでに、会話を精神疾患を発見するための重要な要素として使用しており、言葉の使用比率や量、選び方などの情報を調べている。IBMは、医師の診察やTwitterの発言で得られた患者の言葉や文章を、AIを使って分析することで、同じことができると考えている。
Parmar氏は、「われわれは長年にわたって、言葉と、特定の文脈でその言葉が示唆することの関係を理解するために詳細な研究を進めてきており、その経験が、心理測定プロフィールの構築に役立っている。(中略)例えば今われわれは、ある文脈での言葉遣いが、個人の精神状態を理解する役に立つかという研究テーマに取り組んでいる」と述べている。
IBMはすでにこの種のツールを持っている。同社のコグニティブコンピューティングシステム「Watson」の初期の商用利用事例の1つは、医師のがん治療を支援することだった。現在同社は、医療分野で他のコグニティブツールのプロトタイプを作る取り組みを、病院やその他のパートナーと協力しながら進めている。例えばIBMによれば、南フロリダの地域医療機関であるジュピター医療センターは、がん治療にWatsonを導入する予定だという。IBMはまた、メモリアルスローンケタリングがんセンターとWatsonのがん診断トレーニングのための提携を結んでいる。
このシステムは、統合失調症や双極性障害、うつ病などの病気以外にも応用可能で、テキストの分析や、ウェアラブルフィットネスデバイスや医療デバイスからの情報などから、パーキンソン病を含む神経疾患の診断ができる可能性があるという。
医療のプロフェッショナルはすでに、診断や治療にそれらの情報を利用しているが、IBMは機械学習を使ってそのプロセスを早め、洞察に新たな層を加えたいと考えている。
「米国や欧州ではさまざまな試みが進められており、専門家はその研究結果を論文を通じて共有している。それらの知見は徐々に浸透していくだろうが、それらのデータをすべて総合し、『これらの間につながりはあるのだろうか?これらを結びつけることによって、さらに優れたことはできないだろうか?』と問いかけることは誰もしていない」(Parmar氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。