Moore氏は「われわれは市場でどんな種類のIoT技術が提供されているか、それらのシステムを用いて実験プロジェクトを実施できる可能性があるかを検討している」と述べ、安全性に関する課題は克服可能であり、そのためにIoTが重要な役割を果たし得るという考えを示した。「作ろうとしているのは、継ぎ目のないサービスだ。長期的な目標は、効果と効率の両方を向上させる、総合的な公共安全サービスでなければならない」(Moore氏)
公共部門と民間部門の両方の組織にサービスを提供している、独立デジタルコンサルタントでありCreese Consultingの最高経営責任者(CEO)でもあるJos Creese氏も、IoTは医療と公共安全性の両方にメリットをもたらすと指摘する。同氏は、センサを組み込んだオブジェクトは、将来公共サービス資源の導入を自動的に判断するのに役立つかもしれないと述べている。
ただしそのような自動化が、熟練した技術者の需要減につながるとは限らない。451 Researchの調査によれば、ITリーダーの約半分(46%)は、IoT関連人材の獲得が難しいと考えており、もっとも不足しているのはセキュリティとデータアナリティクスの専門家だという。Creese氏は、IoTに関するノウハウの重要性を認識している。
「公共サービスのIT部門が、IoTの可能性と管理について理解するためには、暗号化、IoTデバイスのためのファイアウォールの設定、IoTデバイスの認証、検知アラートなどの新しいスキルを必要とするだろう」と同氏は言う。「これはIT部門のマネージャーにとって、1990年代のインターネットの導入や、1980年代のPCの導入に匹敵する問題だ」(Creese氏)
しかしそれらの課題を克服する価値はある。文化的な障壁は、IoTの成功を妨げる障壁としても働く可能性があるが、潜在的メリットは大きい。英国ウォリックシャー州議会のCIOを務めるTonino Ciuffini氏が述べている通り、IoTはよりよい顧客体験と、高品質のサービスを生み出すのに役立つ可能性があり、部分的にはすでに成功している。
「一般市民とのやりとりが重要な分野について考えるべきだ」と同氏は言う。「そのような分野では、高品質な顧客サービスを提供することがもっとも大切だ。顧客が自動化を望むなら、技術によって実際に組織の運営を改善できる部分があるはずだ」(Ciuffini氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。