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日本株展望

トランプ発言に見る、自動車産業の未来に募る不安 - (page 2)

ZDNet Japan Staff

2017-02-08 11:17

(1)トランプ大統領が日本の自動車産業を敵視する発言を続けている問題

 最大のリスクは、日本車にとって最も重要な市場である米国で、トランプ大統領が保護貿易主義を前面に出していることだ。対米での貿易黒字額が大きい中国・日本・ドイツ・メキシコを敵視する発言が目立つ。

 トランプ大統領は、日本の自動車産業を批判する発言を繰り返している。日本の自動車が米国に大量に輸出される一方、米国の自動車が日本でほとんど売れないのは、「不公正な競争条件のため」と主張している。この主張は、関税について言うならば誤りだ。日本は、自動車の輸入に関税をかけていない。一方、米国は、自動車の輸入に2.5%の関税をかけている。トラック輸入には25%の高率関税をかけている。

 トランプ大統領は関税でなく、為替操作(円安誘導)と非関税障壁を批判している。日本は為替操作をしていないと主張しているが、トランプ大統領は、日銀の金融政策によって円安を誘導していると言い始めている。10日に実施される日米首脳会談で、トランプ大統領が為替に言及するか注目される。

 日本が非関税障壁によって自動車輸入を制限しているという批判は、妥当とは言えない。日本ではドイツ車を中心に輸入車の販売シェアが拡大しているからだ。米国の車が売れないのは、単に競争力がないからと言える。

 安全基準や環境規制が厳しいために米国車が売れないと主張しても、それは「米国車は性能で劣るために売れない」と言うに等しいことになる。

 日本固有の税制で、海外からしばしば批判を受けるのは軽自動車の優遇税制だ。ただし、米国は軽自動車と競合するような小型車を日本に輸出しようとしているわけではないので、米国車の輸入障壁として大きな争点になるとは考えられない。

 7日に米商務省が2016年の貿易・サービス収支の赤字額を発表したが、貿易相手国別で、日本はドイツを抜いて第2位に浮上した。日本から自動車の輸出が増えたことが順位の変化に影響した。こうした統計も、トランプ大統領が日本の為替政策を批判する材料とされる可能性はある。

2016年の米国の貿易赤字額(通関ベース・季調前)、貿易相手国別(上位4カ国)

(出所:米商務省)
(出所:米商務省)

(2)世界に自国中心主義、反グローバリズムが拡大するリスク

 米国だけでなく、世界中に自国中心主義が拡大している。保護貿易・貿易戦争が世界的に広がると、日本の自動車産業は大きなダメージを受ける。

 自動車は目立つので、とかくターゲットになりやすいと言える。2012年に中国で反日デモが起こった時は、日本車が不買運動のターゲットとなった。中国向けに生活雑貨を輸出している日本企業はターゲットとなりにくい一方、自動車は目立つのでとかくターゲットとなりやすいと言える。

(3)次世代エコカーで、ハイブリッド車よりも電気自動車が優勢となってきていること

 自動車用の蓄電池の性能が大幅に向上したため、電気自動車が1回の充電で走行できる距離が大幅に伸びた。それにより、次世代エコカーとして、電気自動車を優先する国が増えた。自動運転技術の進歩も、自動車の電装化、電気自動車の普及を後押しする。

 次世代エコカーとしてハイブリッド車を中心に推進してきたトヨタ、ホンダなど、日本勢に逆風だ。

 現時点で議論するのは、まだ早すぎるが、遠い将来、ガソリン車が減り、電気自動車が主流になる時代が来ると想定すると、日本の自動車業界はダメージを受ける。ガソリン車に使われる内燃機関が不要になるリスクがあるからだ。内燃機関を製造するための部品技術で優位にある、日本の自動車産業全体にマイナスとなる。

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