座談会@ZDNet

役割の変化に気づく必要がある「情シス」--次世代SIer座談会(5) - (page 2)

山田竜司 (編集部) 小船井健一郎

2017-02-23 07:00

 安田氏:うちも情シスとのやりとりはほぼなくて、避けてしまっています。情シスがからむと、案件の話が長くなるからです。それにかまってると、なかなか話が進まない。言いにくいですが、情シスさんが出てきたら「(商談的には)まずい」と感じます。でも、だいたいは情シスではなくエバンジェリスト的な人たちが窓口になってくれるから、彼らにレシピの書き方とかを伝えると社内にガーッと広めてくれる。だからトレーニングとかも、その方たちにやってもらう。


クリエーションライン 代表 取締役社長、安田忠弘氏

 われわれは規模もそんなに大きくないので、長くて3~4年ぐらいのものを回しています。そこで情シスさんが出てきたとしてもすでに既定路線に乗ってるので、案件としても早い。最初から情シス担当が出てくると、「〇×表を書いてください」みたいなチェックリストが出てきたりする。

 林氏:これまでの情報システムはどちらかというとプロセスの効率化が中心で、どんどん複雑化していくものに対応していたわけですが、今後は変わっていかざるを得ないのではないか。今までは、各事業部門のパートナーから出された要件にたいしてシステムを構築するというイメージでしたが、これからはもう少し事業部門と対等になってやっていく。つまり新しいサービスを立ち上げる部署、IoTやAIやイノベ―ションを担う部署として求められると思います。たとえば「うちでビッグデータを解析したから、ちょっと使ってよ」とか、お互いに役割分担しながらやっていく。今までのように下請け的な役割に甘んじているのではなく推進役・まとめ役になり、全社的なクラウドとか共通の基盤を推進する役割を担っていく。そういうのもありかなと思います。


アイレット(クラウドパック) 執行役員 エバンジェリスト 後藤和貴氏

 後藤氏:でも、情シスとは全然スキルが違うじゃないですか。私はいつも「本当にそういうことができるようになるのかな」と、けっこう懐疑的になってしまうんですけど。

 林氏:理想論はそうなんですが、実際には難しいと思います。現状では、既存システムをどうするかということに集中してしまっている。そういうところはクラウドでどんどん作業効率を上げていって、もうちょっと新しいところにシフトしていく余力をつくっていかないと、なかなか難しいと思います。どこまでドライブをかけて、それを進めていくか。

 後藤氏:われわれの場合、情シスの働き方はあまり変わってないんですけど、質は変化しています。それは「情シスによって従業員がいつの間にか105パーセント働けるようになっている」という状態を作ってもらうということです。今は情シス部門が下回りを支え、売り上げを支えている状態です。これからは情シス部門をキーにしないと、会社を回せなくなるんじゃないかと思っています。もちろん旧来のシステムから変えると、いろんな問題が起こるのはわかっています。情シスが頭になって、新しいものをどんどんつくっていく。われわれの場合、情シスの人は普通のエンジニアよりも新しいサービスを触ったり、導入したりしている。そういうパターンになれたら、すごく面白いなと思います。

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