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日本株展望

思わぬ波乱要因? 欧州に潜む政治リスクを警戒

ZDNet Japan Staff

2017-02-10 12:41

今日のポイント

  1. 米国を中心に世界で政治や経済政策を巡る不確実性が高まっている。日本株は、日米首脳会談を控えて為替相場の行方に不透明感が強く、株価の上値は重い展開
  2. リスク要因として、市場はにわかに欧州主要国での選挙動向を警戒し始めた。反EU・排他勢力が優勢となれば、一時的にせよリスク回避が先行する可能性もある
  3. 日米首脳会談の後は、米大統領による「所信表明演説」とそれに続く「予算教書」発表が注目。議会や行政の協調を得られるのか

 これら3点について楽天証券経済研究所シニアグローバルストラテジストの香川睦氏の見解を紹介する。

日米首脳会談と大統領所信表明演説を見極める

 日米首脳会談(10日)を控えた不透明感が強く、今週も為替相場と株式市場は神経質な動きを余儀なくされた(9日時点)。ただ、円高の勢いがやや一服をみせてきたことや、企業決算は堅調な結果が多く、日銀による上場投資信託(ETF)買い期待も根強いことから、株価の下げ余地に限りもありそうだ。

 世界景気は回復局面にあり、企業業績の拡大が見込まれること、米国でナスダック総合指数が最高値を更新していることなどが、投資家のリスクオン(選好)姿勢を支えている。

 とは言うものの、トランプ大統領の強硬姿勢や貿易政策などを映し、世界経済政策不確実性指数は最高値に上昇(図表1)。政治情勢や経済政策を巡る不透明感が市場の重石になっている。こうした政策不透明感が一段と強まるなら、リスクオフ(回避)の円高・株安が進む可能性があり、業績の下振れ懸念に繋がる事態も警戒される。

 日米首脳会談の後は、トランプ大統領による所信表明演説(28日、上下両院合同会議)と予算教書で示される景気刺激策とその時間軸に加え、暴走気味の大統領が予算策定に不可欠な議会の協調と行政管理予算局(OMB)の支援を得られるかが注目だ。

図表1:世界経済政策不確実性指数と為替の推移
図表1:世界経済政策不確実性指数と為替の推移(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年1月))

欧州の政治情勢を巡る不透明感が強まる

 2016年6月の国民投票結果を受けた英国の欧州連合(EU)離脱決定と、11月の米大統領選挙を経て、欧州でポピュリズム(大衆迎合主義)や排他主義が台頭し、反EUや反移民(難民)を掲げる政治勢力の躍進が警戒されている。こうした政治情勢を巡る不透明感が現実の「失望感」に変わる場合は、株式などのリスク資産や通貨ユーロが売られ、ユーロ圏経済の下押し圧力に繋がる恐れがある。

 欧州の政治情勢に関わる日程として、3月15日のオランダ総選挙(下院選挙)、4月23日のフランス大統領選挙(第1回投票~決戦投票は5月7日)、9月24日とみられているドイツ総選挙(連邦議会選挙)が注目されている。イタリアで年内に解散総選挙が実施される可能性も指摘されている。

 こうしたEU主要国の選挙で、政権与党の勢力が弱体化する事態となれば、EU統合を巡る不安が募り、一時的にせよ通貨ユーロが米ドルや円に対して下落する可能性がある(図表2)。こうした場合、米ドルが上昇するにしても、(過去の経緯に倣えば)リスクオフ(回避)姿勢を受けた円買い圧力が強まる可能性がある。従って、欧州の政治情勢次第では、円高・株安となるリスクシナリオも警戒しておく必要がある。

図表2:ユーロの対ドルと対円相場の推移

図表2:ユーロの対ドルと対円相場の推移
図表2:ユーロの対ドルと対円相場の推移(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2月9日))

 ただ、反EU勢力が選挙で勝利しても、EUからの離脱を決定するには議会での審議や国民投票を経なければならず、中長期のプロセスを要する。また、ユーロ安で外需押し上げ効果への期待が先行すれば、ドイツや周辺国の業況感が改善していく可能性も想定される。選挙後の一時的な乱高下を経て、株式市場が反転上昇する可能性もある(例:英国株は、2016年6月の国民投票後のポンド安を好感し、史上最高値を更新した)。

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