事業会社で取り組むデータ分析の実際

リクルートはどのようにしてデータ分析に取り組んでいるのか--理想と現実 - (page 3)

伊藤徹郎

2017-02-24 07:00

--所属されている組織にデータ活用を浸透させるためにしていることはありますか。

 データによる意思決定の文化をいかに根付かせるかがポイントだと思っています。そのためにまめにデータに基づくファクトから話し始めるように意識付けしています。例えば、各サービスの男女比、年齢分布、主なサービスの使用時間、デバイス別アクセスなどを数値として出し、そのセグメントに対して、有利になるであろう施策を考えるようにしています。

 このファクトに基づく仮説立ての意識付けの点がもっとも重要視している点ですね。あとは基本的にコミュニケーションをフラットにするために座席も近くなっています。

 データプランナーもドメイン知識やログ仕様についてとても詳しく、SQLやBIツールの扱いにも長けているので、この点に配慮する必要がないのはとても恵まれていると感じます。

--自部門ではないビジネスサイドの方のデータ活用状況はいかがでしょうか。

 私が接するビジネス担当者は普段から集客を通じて数字に接しているので、数値には強いですね。特にROIへの意識が強いので、問題に感じたことはありません。機械学習のモデルを説明する際はホワイトボードに書いて一から説明しています。信頼関係を気づくために彼らの要望に対してレスポンスは最大限速くしています。

 例えば最近、“不調なモデル”があったので、その改善策を出すミーティングをしました。その改善策をコードに落とし込んで修正し、確認に出してというやりとりがあったのですが、1週間以内に全てが完了しました。このような対応を心がけているので、データ活用もかなりできています。

--データ活用推進の課題はありますか。苦労した点などもあればお聞かせください。

 機械学習についてまったくの初心者に理解してもらうことが大変です。基本的な統計量の説明などからスタートして分析モデルやAUC(アルゴリズムの識別性能評価)などの評価指標の説明を何度もしました。やはりコンサルティング能力のような他人に説明する能力は必要だなと。定例ミーティングなどでこまめに説明し続けることで理解してもらいました。

 データサイエンティストはこのコミュニケーションから逃げてはダメだと思います。仮にこの説明を放棄するのであれば他人の3~5倍の生産性を出さないといけないと考えています。

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