--データ分析者に期待される役割を教えてください。
サービスを良くすることです。あとはそのサービスを運営するために必要な収益を上げることです。このシンプルな2点です。
--データ分析者のキャリアをどのようにお考えでしょうか。
データ活用の時代は今後も続くと思います。しかし、データ活用できるだけでは厳しくなってくるので、プラスアルファが必要とされてくるでしょう。
例えばデータ分析基盤を構築する際のOSSの開発などです。私は執筆活動をしていますが、これは主に今まで自分が関わってきたコミュニティへの還元だと思って取り組んでいます。あと、社内だけでは多様な価値観に触れることができないので、外部の勉強会などには積極的に参加したほうがいいと思います。
私は海外出張で多様な価値観に触れたことによるきっかけで全力をぶつけられる環境にいきたいと思って、今の環境にいます。価値観の固定化はよくないですね。
--身につけておくべき、または身につけておいたほうが望ましいスキルや経験はありますか。
先ほどのような多様な価値観を受け入れる度量とさまざまな情報ソースに触れるためにも英語力が必要ですね。もちろん国内の情報も見ますが、海外の情報ソースにいきつくことがかなり多いので、必須だと思います。
--今後のデータ活用における業界展望をお聞かせください。
持論ですが、鮭の産卵のような印象を持っています。どういうことかというと、今機械学習はウェブサービスのような第3次産業で流行っています。IoTが流行っておりその流れが工場などの第2次産業に波及しています。おそらく今後は農業などの第1次産業にもこの波が行くと思います。
下から上へ波及していく様がまさに鮭の産卵期の動きと類似してそのように感じています。ここは積極的に追随していきたいですね。まずは開発合宿で電子工作でもやってみようと思います。
まとめ(取材者から)
今回は先進的な企業がどのような組織や役割をもってデータを活用しているかをインタビューしてきました。「事業者がデータを基にサービスを改善する方法」の記事で解説した部門間の連携はそれぞれの担当者を一部門に集約することで効果的に運用されています。またビジネスやサービス側との信頼感もレスポンスの早さを保つことでキープされています。またこのような組織構造や取り組みによって「データ活用を阻む、情報のサイロ化とその解決」で指摘したサイロ化も未然に防ぐことができていますね。
「データの民主化と実際」で指摘した役割はデータプランナーがいることで促進され、MTGなどで何度も必要な情報をインプットし続けることで実現しているようです。高柳さんは「分析官に期待される役割とキャリア」よりもさらに先を見据えた意識をすでにお持ちであり、今後このような職種を目指す方にとってとても良いロールモデルになる人だと感じました。
- 伊藤徹郎
- インターネット金融グループを経て、データ分析企業でデータアナリストとして様々な業種の企業を支援。その後、大手レシピサイトでデータ分析やディレクター業務などを経て、現在はFinTech企業でデータ分析やサービス開発などに従事。RとSQLをよく書いている。