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山谷剛史の「中国ビジネス四方山話」

脱海賊版を悪用した知財ビジネスが話題に

山谷剛史

2017-02-14 07:00

 中国というと、海賊版や商標を勝手に拝借した製品が売られている国というのをイメージの1つとして持つ読者はいるかもしれない。確かに中国のリアルマーケットでは、今もどこかで見たようなキャラクターが描かれた製品を見ることがある。

 オンラインショッピングサイトもそういった製品はまだまだあるが、一方で知財権の保護を目指している。権利者が、どこかのショップがロゴやキャラクターなどを勝手に拝借し商品を販売しているのを発見した場合、「阿里巴巴(アリババ)」の「淘宝網(Taobao)」や「天猫(Tmall)」なら通報することで対応してくれる。

 知財権の保護を目指す中、それを悪用する業者が話題になっている。2月7日、アリババが浙江省の企業W社を、悪意ある訴訟を起こす会社として名指しでブラックリストに入れたというニュースが報じられた。

 W社は、ターゲットとなるショップに対し、権利者になりすまし偽物を販売している、ないしは商標を拝借して、偽造の商標登録証明書を作成し、アリババの消費者センターのような窓口に訴えるというもの。アリババのビッグデータから判明したのは、W社は数千もの店舗を相手に訴訟を行い、その後網衛はその6割の訴訟を取り下げていた。

 訴訟を起こした後、店舗にみかじめ料を要求し、取り下げるのである。業者としては、放っておくと、ショップ内の商品へのリンクが一時的にも消されかねないので見かじめ料を支払う。しかも11月11日のオンラインショッピングセール日など、営業が一時停止となったら非常に困るタイミングを特に狙ってくる。

 中国メディアは、権利者が権利侵害を訴えれば、サイト運営側も連帯責任となるので、いったん削除するという「侵権責任法」36条を狙ってきたものだと分析する。一方、こうした行為を禁止する法律はない。

 アリババの調査では、W社はこうした活動を自主的に行うだけでなく、一部のショップグループが商売敵のショップを蹴落とすために、W社のような企業に訴訟を依頼していたというのだ。

 アリババによれば、これはW社1社の問題ではないという。ナイキのオフィシャルショップに対して、ナイキの商標登録証を偽造して訴える業者や、アリババと並び中国ネット企業最大手の騰訊(Tencent)のCEO馬化騰氏のサインを偽造し、同社のチャットサービス「微信(we chat)」ロゴを使った企業に訴える業者など、怖いモノ知らずの企業もある。

 去年だけでこうした会社は5862社があるとし、女性向けアパレル、運動靴、化粧品、家電などを販売する103万弱のショップがターゲットとなった。結果として1億700万元の経済損失があるという。2015年には200万、2016年には600万を数える。訴訟が通る率は10%に満たないというが、見方を変えれば数%は通ってしまうともいえる。

 越境ECが普及していく中で、中国への販売を考える業者もいることだろう。ビジネスの上で進出することはいいことだが、一方でまじめにやっていても法の隙間がある間は訴えられるリスクもある。

山谷剛史(やまやたけし)
2002年より中国雲南省昆明市を拠点に活動。現在NNA所属。中国、インド、アセアンのITや消費トレンドをIT系メディア・経済系メディア・トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立(星海社新書)」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち (ソフトバンク新書)」など。

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