フランスのDassault Systemes傘下にあるSOLIDWORKSは2月8日、3D CAD製品である「SOLIDWORKS」の次期バージョン「SOLIDWORKS 2018」に搭載予定の新機能を発表した。これまでオプションだったCAM(Computer Aided Manufacturing)を無償提供するほか、製造物構造の最適化を図る「トポロジー最適化機能」も追加した。
2月5日から4日間の日程で開催された「SOLIDWORKS 2018」。会場となったカリフォルニア州ロサンゼルスの「Los Angeles Convention Center」には世界から5000人が集まった
CAMの無償提供で「スマート マニファクチャリング」を実現
SOLIDWORKS 2018の詳細は、カリフォルニア州ロサンゼルスの「Los Angeles Convention Center」で開催した年次コンファレンス「SolidWorks World 2017(SWW 2017)」で発表した。
発表に登壇したSOLIDWORKSで製品ポートフォリオ管理部門シニア ディレクター兼SOLIDWORKSブランドUXリーダーであるKishore Boyalakuntla氏は、「われわれは4つの観点から、SOLIDWORKS 2018の機能拡充とエコシステムの強化を努めてきた。それが、『Design to Manufacturing(設計から製造へ)』『Data Management(データ管理)』『Simulation(効率的なシミュレーション)』『IoT(インターネット接続を前提とした製造』だ」と語り、新機能の詳細を説明した。
SOLIDWORKSが示す4つのエコシステム
「Design to Manufacturing」では、「設計」と「製造」の間にあるプロセスを大幅に短縮して効率化を図ることを目指す。それを実現するのが「SOLIDWORKS CAM」だ。CAMとはCADで作成したデザインを基に、製造する工作機械の制御プログラミングを作成するもの。従来までのSOLIDWORKSではオプションとして提供していたが、SOLIDWORKS 2018では、すべてのデスクトップ版でCAMを無償提供する。
SOLIDWORKSで製品ポートフォリオ管理部門シニア ディレクター兼SOLIDWORKSブランドUXリーダーであるKishore Boyalakuntla氏
Boyalakuntla氏は「設計から製造に至るプロセスには、数多くの手動作業が必要であり、非効率な部分もあった。しかし、SOLIDWORKS 2018ではCADとCAMが1つのツールとして使用できる。SOLIDWORKS CAMの無償提供で、設計から製造までの連続した『スマート マニファクチャリング』が実現できる」と語る。
Data Managementでは、プロジェクト管理/プロセス管理/アイテム管理を実行する「SOLIDWORKS Manage」が備わる予定だ。
かねてからソリッドワークスでは製品データ管理システムとして「ENOVIA」を提供している。ただし今回提供されるSOLIDWORKS Manageは、「1からスクラッチで開発した」(Boyalakuntla氏)ものだという。
「大規模企業では製品データ/製品ライフサイクル(PLM)を管理するシステムを導入しているが、コストの観点から中堅・小規模企業ではこうしたシステムを導入する企業は少ない。SOLIDWORKS Manageは、そうした中堅・小規模企業を対象に開発した機能だ」(Boyalakuntla氏)
「SOLIDWORKS Manage」は中堅・小規模企業向けのPLMという位置づけだ