日本マイクロソフトは、日本政府が定めた「サイバーセキュリティ月間(2月1日~3月18日)」に賛同し、2月14日に「マイクロソフト セキュリティフォーラム」を都内で開催した。基調講演では、クラウドを活用した強固なセキュリティ実現や、日本マイクロソフトが実施しているセキュリティへの取り組みについて語った。
日本政府は不審メールや情報漏えい被害など、生活に影響を及ぼすサイバーセキュリティに対する関心を高め、1人1人が意識的に対応することを目指し、2月1日から3月18日までの約1カ月間を「サイバーセキュリティ月間」と定めている。日本マイクロソフトもこの取り組みに賛同し、8年前から何らかの施策を実施してきたが、今年2017年は都内で「マイクロソフト セキュリティフォーラム」を開催した。
日本マイクロソフト 代表取締役社長 平野拓也氏
Microsoft Azureを用いたセキュリティ強化の方法や、同社が実際に行っているセキュリティへの取り組みを説明した。「世界をデジタルトランスフォーメーションする、クラウド&セキュリティ」と題した基調講演で日本マイクロソフト 代表取締役社長 平野拓也氏は、「セキュリティは経営課題。自由に仕事ができる安心・安全な環境を作り上げるのが大切」(平野氏)と語る。
大手調査会社は、既に世界中で64億台のIoTデバイスが使用され、2020年までには稼働台数が208億台を超えたと報告している。平野氏はIoTデバイスの普及はセキュリティ対策の重要性が高まると強調。「積極的なセキュリティ対策が重要」(平野氏)と述べつつ、Microsoftが運営し、政府機関やセキュリティ専門家などと連携して、ボットネットの撲滅など広く活動するDCU(Digital Crimes Unit)を紹介した。
さらに2年前となる2015年2月に、悪質なコードやマルウェアが関係する事件に特化した情報分析を実施し、サイバー犯罪に対する取り組みを法執行機関などと連携して推進する「サイバークライムセンター日本サテライト」の開設・活動や、「インテリジェントセキュリティグラフ(詳しくは後述)」で自社のセキュリティ対策を行っているという。
IDベースのセキュリティ推進団体を結成
また、日本マイクロソフトは今後のセキュリティ対策施策として、「Azure IP Advantageプログラム」を発表した。既に米国では自社が保有する特許権の侵害する可能性を持つ企業に対して、巨額のライセンス料を求める"パテント(特許)ロール"が増加し、過去5年間に米国で起きた知財訴訟数は22%も増加しているという。この現状に対して日本マイクロソフトは、Microsoft Azure上の知的財産保護を目的に、Microsoftが所有する1万件の特許を用いて利用者の保護に努める同プログラムを開始する。
「仮に特許訴訟を起こされた場合、われわれの特許を盾に対抗できる」(平野氏)という。さらにセキュリティ関連企業のラックと共に、IDベースのセキュリティを推進する団体「ID-based Securityイニシアティブ」を3月に設立すると発表した。平野氏によれば、IoTデバイスの検証や技術者育成、マルウェア対策の検討などを目的に、SaaSやネットワークベンダーなど多数の企業が参画する予定だ。
日本初披露となる「Azure IP Advantageプログラム」