今日のポイント
- 2月決算銘柄には小売りや外食などで個人投資家に人気の高い株主優待制度を有する銘柄が多い。株主優待制度は、個人投資家を優遇する内容となっており、最小投資金額で投資すると優待取りの効率がいい
- ダイヤモンドダイニングは、優待人気が高いがゆえに優待取りの買いで1月から株価が急騰している。優待取りの買いが終わると、株価が急落する可能性もあり要注意
これら2点について楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。
個人投資家にとって優待投資のすぐれた面
以下の(1)と(2)が挙げられる。
- 株主優待制度は個人(小口)株主を優遇する内容となっている
- 自社商品や自社製品を贈呈する株主優待に魅力的な優待が多い
詳しく説明しよう。
(1)株主優待制度は個人株主を優遇する内容となっている
機関投資家には、株主優待制度に反対しているところが多数ある。ほとんどの株主優待制度が、小口投資家(主に個人株主)を優遇し、大口投資家(主に機関投資家)に不利な内容になっているからだ。
1つ例を挙げてみよう。2月決算の吉野家HLDGの優待内容は以下の通りだ(注:優待内容は変更されることがある。常に最新の情報を確認してほしい)。
吉野家HLDGの優待内容
毎年2月末と8月末の株主名簿に記載されている株主に以下の優待商品を送る。2月末の株主名簿に登載されるためには2月23日までに同社株を購入する必要がある。2月24日に同社株を購入しても、2月の株主優待は受けられない。

(注)優待食事券3000円分は300円券10枚で贈呈される。1回の食事で2枚以上使えるが、優待券だけでの支払いにお釣りは出ない。牛丼の吉野家の他、はなまるうどん、ステーキのどん、しゃぶしゃぶどん亭、京樽、すし三崎丸など吉野家グループの多様な業態で利用可。食事券10枚(3,000円分)を定めた期限までに返送した場合、自社グループ製品詰合せセットと交換可能(詳細は同社HPで要確認) 出所:同社HP
上記の優待内容から、100株あたり1年間でどれだけの金額の優待を受けられるか計算したのが以下の表だ。

(出所:楽天証券経済研究所が作成)
100株あたりの経済メリット享受額は、最小単位(100株)を保有する株主が6000円で最大だ。保有株数の大きい株主は、100株あたりの優待受け取りが小さくなる。つまり、株主優待制度は小額投資の個人株主を優遇するものであることがわかる。
個人株主数を増やしたい上場企業が優待制度を積極活用して個人株主にアピールしているわけだ。また、自社製品やサービスを宣伝するために、株主優待を活用する企業も多数ある。
効率良く、優待を獲得するためには最小投資金額でさまざまな優待銘柄を保有することが有利だ。
(2)自社商品や自社製品を贈呈する株主優待に魅力的な優待が多い
前掲の吉野家HLDGも自社商品を優待に利用している。
2月14日の同社株価は1660円だ。最小投資単位である100株投資するのに必要な金額は16万6000円だ(売買手数料は除く)。100株保有すると、1年間に6000円相当の優待券が得られる。16万6000円投資して、6000円相当の優待が得られるので、効率の良い優待と考えられる。
吉野家HLDGは、優待の他に配当金も出す。2017年2月期の中間配当と本決算での配当を合わせた配当利回りは、2月14日の株価に対して1.2%となる見込みだ。