注視すべき米国新政権の動向とそれが及ぼす影響
NTTデータによると、旧Dell Services部門は主要顧客としてヘルスケア、製造、サービス業、金融機関、そして連邦政府などにも強固な基盤を持ち、特にヘルスケア向けの業界特化型ソリューションやビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービスにおいて顧客から高い評価を得ているという。
そうした部門を買収したことにより、「主に北米地域の各業界における事業を拡大すると同時に、クラウドサービスやBPOサービスにおいても最先端の技術を活用したサービスの強化を目指したい」(本間氏)としている。
ちなみに、旧Dell Services部門の売上高は2016年1月期で28億1800万ドル(1ドル110円換算で約3100億円)、営業利益は1億1600万ドルだった。従業員数は2万8000人だ。
売上高でいうと、NTTデータの2016年度(2017年3月期)の連結予想が1兆6800億円であることから、旧Dell Services部門を統合すれば2017年度(2018年3月期)は2兆円を目前にする形となる。
同社ではかねて、2020年度に連結売上高2兆円超、海外売上高比率50%を目指してきたが、旧Dell Services部門の買収により、2年前倒しして2018年度にこの目標を達成する構えだ。従業員数は全体で10万人を超える規模になる。
これをして本間氏は、「今回の統合により、ローカルプレゼンスの向上とグローバルブランドの確立を一層力強く図っていきたい」と強調した。
ただ、同氏は北米市場の今後の見通しについて、「業務の効率化やビジネスの成長に向けて最新のITを活用するような企業の投資は引き続き堅調に推移すると見ている」としたものの、「米国新政権の動向とそれが及ぼす影響について、よく状況を見極めていく必要がある。特に入国禁止令のような人の移動を制限する動きについては、さまざまなリスクを想定してマネジメントを行っていかなければならないと考えている」と慎重な見方を示した。
NTTデータにとって、この4月からスタートする新体制は、本間氏が言うように、グローバルブランドの確立に向けて大きなステップアップとなる。ただし、北米事業はどうやら“視界不良”の船出となりそうだ。まさしくマネジメント力が試されることになる。