今日のポイント
- 株主優待は、自分で使う時、一番価値が高い。売却できる場合もあるが、その場合は、価値が大きく低下する
- 株主優待が魅力的で、最高益更新が予想されるビックカメラなどに注目
- 優待制度がなくても、ローソンのように配当利回りが高い銘柄には注目できる
これら3点について楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。
昨日のレポート内容の復習
今回のレポートは、昨日のレポートの続編となる。まず、昨日のレポートに書いた重要ポイントを復習しよう。
- 2月決算銘柄の株主優待を得るには、2月23日までに株を買わなければならない
- 最小投資単位(100株が多い)で投資すると、優待獲得の効率が最も良くなる。株主優待制度では、小口(個人)株主を優遇。大口投資家には不利
- 自社商品や自社製品を贈呈する株主優待に魅力的な優待が多い
- 株式投資である以上、株価が上昇することも下落することもある
- 優待の人気銘柄で、優待取りの買いで株価が急騰している銘柄は投資を避けた方が良い。2月の人気優待銘柄ではダイヤモンドダイニング株は避けた方が良いと考える
- 業績が悪化している銘柄は、株価が下がるリスクがある
- 優待内容は変更されることがある。最新情報の確認が必要
今回、追加で伝えたい内容
- 自分で使う予定のある商品・サービスを選ぶべき→イオンを例に説明
- 最高益更新が予想される企業に注目→ビッグカメラ、ドトール・日レスHLDGを例に説明
- 優待制度がなくても、配当利回りが高い銘柄は注目→ローソンを例に説明
優待券は、自分で使うのが一番有利
外食業では食事券を、小売業ではお買い物券を、株主優待として贈呈する例が多い。こうした優待券は、有効期限内に使用しないと失効するので、有効期限に注意しよう。
500円券は、自分で使えば500円の価値がある。どうしても有効期限内に使えない場合は、売却することを考えよう。インターネットや金券ショップで売却できる場合もある(売却制限がかかっている優待券は売却できない)。ただし、売却価格は額面を大幅に下回るのが普通だ。
人気の優待券でも、500円券に対し買い取り価格は400円程度が多く、人気のない優待券では200~300円で売れればいい方だ。買い取りに応じてもらえない優待券もある。有効期限が短すぎると売れない可能性が高まる。
結論として、優待券は自分で使うのが一番有利だ。日常生活で普通に使うものを優待品としている銘柄が有望だ。さまざまな日用品から選択できる優待も使いやすいといえる。
また、株主優待券だけで支払いをする時はお釣りが出ないのが普通なので、1枚あたりの金額が小さい優待券の方が使いやすいといえる。
2月決算の優待銘柄で人気がある銘柄に、イオンがある。投資の最小単位(100株)で投資した場合、2月末と8月末の株主に、「オーナーズカード」が優待券として送られる。
イオンで買い物する時にこのカードを提示し、現金・イオンのカードで支払うと、買い物金額の3%分【注】がキャッシュバックになる特典が受けられる。半年分の買い物金額の3%分が半年ごとにまとめてキャッシュバックされる。
【注】保有株数が多くなると、割引率が高まる。詳細は同社HPで確認してほしい。
このキャッシュバックは、毎月20日、30日に実施される「お客さま感謝デー」の5%割引と同時に使うことができる。ただし、同時に使えない割引もある。キャッシュバックの適用についての詳細は、イオンのHPで確認してほしい。
2月14日の株価1667円で100株投資するには、16万6700円必要だ(売買手数料は除く)。これに対して、キャッシュバック対象となるイオングループ店舗での買い物が、1年間で10万円ならば3000円のキャッシュバックが得られる。1年間の買い物が50万円ならば1万5000円、100万円ならば3万円のキャッシュバックが得られる。イオンでの買い物金額が大きいほど株主優待の価値が高くなる仕組みだ。
イオンの優待の価値が高いか否かは、日常イオンでどのくらいの買い物をするかによって決まる。
イオンへの投資の問題点は、本業の国内スーパー事業が、コンビニエンスストアとの競争で苦戦していることだ。同業のイトーヨーカ堂は既に、大規模なリストラ・退店を実施している。
イオンは、大手スーパーで唯一競争力を保って生き残っているが、将来コンビニとの競争でさらに業績が圧迫される懸念は残る。
ただし、イオンには安定収益源となる2つの部門がある。金融部門(イオンクレジット)と、不動産部門(イオンモール)だ。スーパー部門の収益力は低下しているが、金融事業や不動産事業が連結収益を支えている。株価の上値はあまり期待できないが、優待を楽しむ銘柄としては投資していくことに特に問題はないだろう。