ただ、筆者が同時に疑問に感じたのは、現場で全体最適を図るために、地域営業部長にどれだけの権限を委譲すればよいのかだ。会見後、大塚氏にこの質問をしたところ、次のような答えが返ってきた。
「権限を委譲するのではなく、経営としてどこを重視しているかを明確にすることが大切だ。そのためにインセンティブも用意している。それにより、現場が自発的に考えて活動するようになることが重要で、とりわけ営業部長が結果にコミットして動くようになれば、現場主導が根付いていくと確信している」
同氏によると、狙い通り現場では活気が出てきつつあるという。この組織のあり方については、大塚商会と同じように地域展開を図っている企業、さらにはグローバル企業にも共通する課題として参考になるのではないだろうか。
「環境省も本腰を入れ始めたリユースは今後ますます浸透していく」 (情報機器リユース・リサイクル協会 小澤昇 専務理事)
情報機器リユース・リサイクル協会の小澤昇 専務理事
一般社団法人の情報機器リユース・リサイクル協会(RITEA)は、環境省が2月12日に横浜・みなとみらいのクイーンズスクエア横浜クイーンズサークルで、「リユース」の普及を目的に開催したイベントに出展した。小澤氏の冒頭の発言は、その会場で筆者の取材に応じて語ったものである。
会場では、リユースに関連する団体や企業が出展し、活動内容や商品の実演などを行っていた。また、特設ステージでは、若手お笑い芸人によるリユースをネタにしたお笑いライブや、タレントによるトークショー、アイドルグループによるライブなども。日曜日の商業施設でのイベントとあって、多くの一般客が足を止めていた。
特設ステージでのアイドルグループによるライブ
環境省がリユースをテーマとして一般向けにこうしたイベントを開催したのはこれが初めて。小澤氏によると、環境省で昨年夏に課長補佐待遇のリユース専任担当者が任命されたこともあり、今回のようなイベントが開催される運びになったという。
RITEAはこのイベントに、会員であるアンカーネットワークサービスおよびメディエイターとともに出展。両社はリユースPCの展示・実演を行っていた。
RITEAの調査では、リユースPCは今や国内パソコン市場の2割を超えている。小澤氏によると、「PCやスマートフォンなどの情報機器は高価なこともあってなるべく長く使いたいと考える人が多いが、ここにきてリユース品の認知も高まってきて徐々に普及する状況になってきた。企業でもリユースPCを導入するケースが増えている。最近ではシェアエコノミーが注目されているが、既にあるものを有効活用するという意味ではリユースも同じ。今後ますます浸透していくだろう」という。
環境省も本腰を入れ始めたリユースの動きに、今後も注目しておきたい。