10年余り前、ミュンヘン市はWindowsからLiMuxへの移行を開始した。移行対象コンピュータの数は1万5000台以上におよび、コストは3000万ユーロを超えたとされている。同市のコンピュータは現在、ある種のアプリケーションを実行するために一部でWindowsが使用されている以外、ほとんどがLiMuxとなっている。
ミュンヘン市の現与党によると、市の職員は毎日使用しなければいけないLiMuxを好んでおらず、市としては単一のOS、すなわちWindowsに統一する必要があるという。
Reiter氏は15日午前の議会で、Accentureに委託したレポートに記載された「(職員の)半数以上が不満を抱えている」という内容を引き合いに出し、「職員はわれわれのITに満足していない」と述べた。
ただし、ミュンヘン市職員への調査を含むAccentureのレポートは、職員の「不満」の主な原因としてLiMuxを名指ししているわけではない。
緑の党の議員であるFlorian Roth氏は15日の市議会において、糾弾すべきは市当局のIT組織構成だと指摘するとともに、「68.6%は同ソフトウェアに完全に満足していると述べている」と主張した。
Open Source Business Allianceの役員であるPeter Ganten氏は米ZDNetに対して、ミュンヘン市における体制上の問題の元凶は、同市がLinuxへの切り替えを決定した2003年頃にまでさかのぼると述べた。同市はLinuxへの移行と並行し、ITのサポート体制を中央に集約し、各部署が独自のIT部門を用意するというやり方を撤廃した。
Ganten氏は「この体制の集約が直接的なかたちではなく、非常に複雑なかたちで実現された」と述べている。
「彼らはITサービスを集約した部門を1つ用意するのではなく、タスクに応じた部門を3つ用意した。このため意思決定を行ったり、ものごとを前に進めるうえで簡単に進まないケースが何度もあったと聞き及んでいる」(Ganten氏)
現市議会においてIT戦略の核となっている考え方は、Linuxの破棄だけではない。15日には、「合理化された」IT部門の設置、理想的には市有の企業が運営するようなIT部門を設置したいとの考えが与党連合で承認された。また各行政区は、特定のニーズに注力する独自の小規模なIT部門を持つことになる。
多くの人々は、Windowsへの大規模な移行が決定されたも同然だと考えている。Roth氏はCSUとSPDが最終決定を下した市議会の後で「CSUとSPDはたった今、われわれの意に反し、ミュンヘンから#opensourceと#LiMux、#Linuxを葬り去り、#Microsoftに戻ることを決定した」とツイートしている。しかし、そのコストについては不明なままだ。