IBMはコグニティブコンピューティング分野における「IBM Watson」の利用拡大に向け、プライマリケア(一次診療)に従事する医師に対する支援の拡充に力を注ごうとしている。
米国時間2月19日~23日にかけて開催中の医療情報管理システム学会(HIMSS:Health Information Management Systems Society)のカンファレンス「HIMSS17」においてIBMは20日、プライマリケアや急性期後医療、メンタルヘルス、コミュニティーケア、急性期医療といった医療環境でWatsonを活用し、患者の状態を包括的に把握する計画について説明した。
現在、ニューヨーク州中央部の6郡で、2000以上のプライマリケアプロバイダーを対象にこの計画が推し進められている。
一方、マサチューセッツ州に拠点を置くAtrius Healthは、プライマリケアプロバイダー向けの同社の電子医療記録(EMR)ワークフローにIBMのコグニティブコンピューティングツールを埋め込む計画だ。
Watsonに関するヘルスケア分野のこれらの情報は、HIMSS17の基調講演でIBMの最高経営責任者(CEO)Ginni Rometty氏によって発表された。Rometty氏は、ヘルスケア分野におけるブロックチェーン技術の役割と、Watson関連の最新の状況についても説明した。
製品という観点から見た場合、IBMはWatson Healthにおけるクラウドの取り組みを「医療保険の携行性と責任に関する法律」(HIPAA)に準拠したサービスとしてのデータプラットフォームと、新たなエディション、新たな地域におけるデータセンターによって拡充していくと述べている。
IBMの「Watson Platform for Health」は健康関連およびライフサイエンス関連の企業向けとなっており、ヘルスケア業界の企業幹部とデータ科学者の双方を支援する能力を備えている。
また、HIPAAに対応したモバイルアプリやコンプライアンスツールがサポートされるほか、医師が書いたメモのような非構造化データを取り込むためにWatsonベースのサービスも用意される。
さらに、同社はヘルスケアプロバイダーによる機械学習やデータ科学、アナリティクスの活用を支援するためにWatson Health Consulting部門を立ち上げた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。