管理職やIT担当者の間で、自社が利用する技術として、クラウドコンピューティングに違和感を持たない人が増えている。数年前まで足かせとなっていたセキュリティへの懸念も薄らいでいる。しかし、大企業におけるクラウドはまだベストプラクティスが確立されていない分野だ。サービスの集中化、仲介、無駄なクラウド支出の削減、DevOps文化の促進など、ITリーダーが取り組むべき課題は多い。
これらは、クラウドの状況に関するRightScaleの最新の調査「RightScale State of the Cloud Report」で明らかになった。この調査はさまざまな業界の幹部、マネージャー、担当者ら1002人を対象に行ったものだ。この最新のレポートによると、クラウドの課題は全体的に減少している。このうち、「ガバナンスおよび管理」を課題とした回答は前回から横ばいとなった。「リソースと専門知識の不足」「セキュリティ」「クラウド支出の管理」を回答者の25%がそれぞれ重要な課題として挙げ、その割合は最も多かった。
セキュリティは、前年の29%から25%に縮小した。セキュリティの責任を背負う企業のITチーム内でも、セキュリティに対する懸念は過去数年で大きく減っている。リソースと専門知識の不足は、2016年にはクラウドの課題として回答された割合が最も高かったが、2017年は前年ほどではなかった。25%が課題として挙げており、前回の32%から減少した。クラウド支出の管理についても、前回の26%から25%へとわずかに減少している。
この調査で、クラウドのガバナンスに関して見方にずれがあることがわかった。中核的なITチームは、クラウド関連の自らの役割についてより広くとらえるようになっており、これにはパブリッククラウドの選択(65%)、どのアプリをクラウドに動かすかを決定、助言すること(63%)、プライベートクラウドの選択(63%)などが含まれるという。だが企業のIT部門と事業部門の間でその見解に大きな差があるようだ。またITチームは、サポートされたクラウドのハイブリッドなポートフォリオの構築というタスクを抱えているとRightScaleは述べている。企業の中核的なITチームの最優先課題はハイブリッドクラウドの活用であり、回答は2016年の39%から50%に増えた。