日本株展望

米景気敏感株を見直し--ブリヂストンはトヨタより有望? - (page 3)

ZDNet Japan Staff 2017年02月22日 12時50分

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ブリヂストンの業績見通し:天然ゴム価格の急上昇が利益を圧迫

ブリヂストンの業績見通し

ブリヂストンの業績見通し
(出所:同社決算資料)

 ブリヂストンは、タイヤ世界市場の成長に伴って安定的に成長が続いていた。2015年12月には営業最高益を更新している。2016年12月期は13%の営業減益だが、円高による減益効果(営業利益でマイナス680億円)を除けば、微増益で営業最高益を更新していたはずだった。

 2017年12月期は、会社では1ドル110円を前提に1%の営業増益を見込んでいる。増益率予想が低いのは、原料の天然ゴム価格が急騰していることによる。タイの洪水被害で天然ゴム価格が一時的に急騰していることが影響している。

 米国中心にタイヤ値上げが通る見込みであること、高付加価値の戦略タイヤの販売が増えることが増益要因となるが、天然ゴムの短期的な値上がり率が大きいことが今期の利益を抑える。

天然ゴム(RSS3)先物(期近)推移:2013年1月末~2017年2月21日

天然ゴム(RSS3)先物(期近)推移:2013年1月末~2017年2月21日

 ブリヂストンは、期初に保守的(低め)の予想を出す傾向が強く、今期の営業利益は5%増益に上方修正される可能性があると考えられている。

 ただし、会社が示している今期増益率が低いので、短期的には株の上値は重いと考えられる。

 ブリヂストンは、短期的な増益率が高いわけではないが、長期的に好配当利回りの安定成長株として評価できる。

 長期的な視点にたつと、自動車の保有台数の増加にしたがってタイヤの世界市場は拡大していくので、ブリヂストンはいずれ最高益を更新していくと予想される。新車に装着する需要だけでなく定期的に取り替えが必要になることから、新車販売が落ち込んだ時でも安定的に成長が続いている。

 タイヤ生産は規模のメリットが大きく、“タイヤ世界首位”で、先に世界市場を押さえたブリヂストンの優位は簡単には揺らがない。

2015年のタイヤ世界シェア上位8社(出所:タイヤビジネス誌)

 (1)15.0%ブリヂストン、(2)13.8%ミシュラン、(3)9.2%グッドイヤー、4)6.7%コンチネンタル、(5)4.3%ピレリ、(6)3.8%住友ゴム、(7)3.3%ハンコック、(8)2.6%横浜ゴム

 近年、中国メーカーが低価格タイヤで世界シェアを高めてきていることが脅威となっているが、それでも自動車走行の安全にかかわるタイヤについては価格だけで世界シェアが激変することはない。ブリヂストンブランドは、安全性や耐久性など品質で高い評価を得ており、先進国では高い競争力を有している。

ブリヂストンが世界トップ企業になるまでの苦悩

 大型買収の正しい評価は10年20年の長い年月を経てからでないと下せない。投資家やアナリストの評価は往々にして短期的で、大型買収の本質をわかっていないことが多いので要注意だ。

 それをつくづく感じさせられるのが1988年のブリヂストンによるFirestone買収だ。世界企業として飛躍した今日のブリヂストンを見れば、この買収は大成功だったと結論づけることができる。ただし、その評価は二転三転した。

 買収直後の1988年~1992年、投資家やアナリストからは「割高な買収」と批判された。イタリアのPirelliと買収を競う形になったため、買収価格は当初予定より大幅に高くなった。それに加え、買収直後に米GMがFirestoneからのタイヤ調達をやめる方針を発表したことや、Firestone工場の生産や品質管理に想定以上の問題があることが発覚したことが痛手になった。

 ブリヂストンは歯をくいしばってFirestoneの立て直しに邁進した。その成果でGMへの納入も再開し、Firestoneは高収益会社に生まれ変わった。1990年代にはブリヂストンの海外収益の柱として育ち「買収の好事例」としてアナリストから高く評価された。

 2000年に買収の評価が再び暗転した。アメリカで「Firestone製のタイヤを装着したFord車が横転事故を起こし多数の死傷者が出ている」との報道が出てから、バッシングが始まったからだ。

 事故原因が特定されていない中で、ブリヂストンはFirestone製タイヤ1440万本を自主回収した。Fordとは事故原因をめぐり訴訟になりった。この影響でブリヂストンは収益が悪化、株価も大きく下がり、「ブリヂストンはとんでもない会社を買収した」と批判された。

 Ford車の事故については、最終的に「タイヤだけが原因ではない」との調査結果が出てFordとも和解し、Firestoneは再び立ち直った。長い苦労を経て、Firestoneは今ブリヂストンのグローバル戦略を支える要となっている。

 買収で売られる株、買われる株の評価は、短期投資家の視点ではなく、会社とともに生きる超長期投資家の目で見ていかなければならないと、窪田氏は痛感しているとのことだ。

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