--この先、どういう進化を目指して研究していますか。
向井:自動車メーカーやロボットを作っている会社などと一緒に研究開発をしています。今は対話エンジンというと言語の情報だけで窓口業務が中心ですが、その進化の先にはロボットやモビリティがあります。いろいろな企業さんと一緒に研究をやりつつ、社会実装理論をすぐに実行していく社会実装があるというシナジーです。2016年11月に発表した早稲田大学高等研究所との量子アーニングを用いた人工知能ソフトウェアの共同研究も、対話技術における最先端のものを取り入れようということで進めています。
--複数の競合ベンチャーがある中で大手企業にパートナーとして選出されるのはなぜでしょうか。
向井:社会実装をやっていて、それが研究に相当結びついているからだと思います。社会実装も研究もスピード感があるので、そのブリッジが上手いところは競争力として強みでもあります。試行回数も早く重ねるようにしており、研究とプロダクション、開発の回転が早いのです。研究もいろいろな技術を持って回しています。また、エンジニアが展示会などで前に出て、作ったものについて話していることも影響しているかもしれません。
われわれが踏み込む領域は製品化リスクが高いところと、技術のリスクが高いところと、マーケットの受け入れるリスクが高いところです。「本当に対話システムを使うのか」「対話システムは技術的に可能なのか」というリスクがあるなかで、そこはやはりわれわれベンチャーが取り組むべきところだと思うので、いち早く進めています。
--MINARAIについてですが、ブイキューブと連携した背景は。
向井:私がブイキューブ代表の間下さんと一度お会いしてから、「(われわれのAIとウェブ会議の連携は)絶対いいですから」と提案していたのです。これはAIと人との協業というハイブリッドはできるし、実現すれば”fun to have”ではなく”need to have”に”今日”なっていくと考えました。
--MINARAIシステムでウェブ会議によってでつながれた人は遠くからサポートしている状態ですか。
高見:はい、いくつかの端末の対応を1か所に“集中化”しています。今回MINARAIを展示したのは羽田空港国内線第2ターミナルですが、第1ターミナルにも案内業務のニーズがあります。今まではそれぞれに人が立つ必要がありましたが、MINARAIがあれば、まずはAIが話してくれるため、困ったときに話しかける先は1人で良く、業務の集中化、効率化になります。
われわれは端末を置いておいて、AIは介在せずに、人が来たらボタンを押して対話できるようにすれば良いと思っていたのですが、それではどこかで労働集約が起きてしまいます。AIがいることで業務が効率化できる、という見ていたビジョンが近かったことが、今回、「一緒にやりましょう」と言ってから数カ月間で一斉にここまで来た理由だと思っています。MINARAIは銀行受付への対話システム、今回の羽田空港のほかに、高速道路サービスエリアでの対話システムや、24時間応答のカスタマーサポートの実証実験をしています。

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