NTTデータ経営研究所は、2月10日、「企業のX-Techビジネスの取り組みに関する動向調査」の結果を発表した。
X-Techとは、FinTechに代表されるような、今までの常識を打ち破るような洗練されたテクノロジをコアとした新しいサービスや製品を総称したもの。「NTTコムリサーチ」登録モニターを対象に、X-Techビジネスへの取り組み状況、X-Techビジネスの成功要因と失敗要因、アライアンスなど外部との連携有無の状況などを調査した。
調査の結果、従来の一般的な新規ビジネスとの比較や、大企業とベンチャー企業に分けた考察においても、成功要因に大きな違いはないということが分かった。
成功要因には、X-Tech独自の特色、X-Techならではのものはそれほどなく、主に「人材」 に関わる部分が多かったという。具体的には、人材面においては外部人材の活用としての成功要因に「ITベンダーのようなIT専門家の活用」「グロースハッカーの活用」が挙げられ、「テクノロジーに関する知識やスキルセットを有する技術人材」が成功の決め手となったという回答が多かった。
「大企業」と「ベンチャー企業」での対比では、保有する経営資源の大小、組織、戦略やビジネスモデルの立案・設計などに成功要因の違いが見られた。同研究所では、この結果について、X-Techらしさというよりは一般的な新規ビジネスにおける従来からある立ち上げ方の相違だとした。
同調査では、X-Techビジネスの失敗の要因についてもたずねている。
人材面では、大企業では「テクノロジーに関する知識やスキルセットを有する技術人材」の不足が最も多く33.3%。次いで「既存ビジネスや常識に囚われない柔軟な発想を有する人材」と「既存ビジネスや常識に囚われない柔軟な発想を有する人材」の不足がそれぞれ28.9%となった。ベンチャーでは、「既存ビジネスや常識に囚われない柔軟な発想を有する人材」と「営業人材」の不足が30.0%で最多となった。
ビジネスの構築・運用における “ヒト” に関する失敗要因(大企業/ベンチャー比較)
またビジョンや戦略、ビジネスモデルの立案・設計の面では、大企業では「社会課題の解決や新しい価値の創出、イノベーションを実現させるといった強い意志・使命感」の欠如が33.3%となり、「顧客ニーズの明確化」、「マネタイズ(収益モデル)の設計」などがうまくいかなかったことがそれぞれ20.0%となった。ベンチャーでは、「情報・データの収集・分析・活用」ができなかったことや、「戦略やビジネスモデルは敢えて固めず、構築・実行フェーズへ」進んでしまったことがそれぞれ30.0%に上った。
ビジョンや戦略、ビジネスモデルの立案・設計に関する失敗要因(大企業/ベンチャー比較)
さらに、X-Techビジネスで失敗したと答えた回答者の社外人的リソースの活用状況に関してたずねたところ、大企業では「活用しなかった(社内人材で対応した)(33.3%)」が最も多く、次いで「コンサルタントのようなビジネスの専門家の活用(20.0%)」となった。成功した大企業の回答では、「活用しなかった(社内人材で対応した)」という答えは失敗した企業より5%ほど下回っている。また、ベンチャーでは、「コンサルタントのようなビジネスの専門家の活用(40.0%)」が最も多く、次点は20.0%で「金融機関や監査法人のような財務の専門家の活用」「起業家のようなイノベーションの専門家の活用」「活用しなかった(社内人材で対応した)」の3項目が並んだ。