まずは仮想アプリケーションの「XenApp」、仮想デスクトップの「XenDesktop」を提供する。具体的には、ブラウザのみを仮想アプリケーションとして利用できるXenApp Secure Browser、XenDesktop、XenApp&XenDesktopの3種類のサービスをそろえる。
特徴は、サービス提供が関連する管理系の機能を含む管理プレーンと、ユーザーが直接接続するユーザー環境(展開ロケーション)の分離だ。この管理プレーンと展開ロケーションは安全な接続を通じてやり取りするという。
これにより、ユーザー環境ではこれまでの投資をそのまま活用してオンプレミスのデータセンターを利用したり、任意のIaaS、あるいはハイブリッド、ハイパーコンバージドなどを利用したりできる。
サービスアーキテクチャ。上の管理プレーンはCitrixが管理・保守し、下はユーザーあるいはパートナーが管理するため、責任の範囲も明確に分けた
クラウドの特徴である柔軟性、高速性、シンプルさを生かすため、Citrix Cloudではツールセットのスイート「Smart Tools」も提供する。これにより、ユーザーの増減や変更などに柔軟かつ高速に対応できるほか、将来的には自律化、自動化の方向に進めていくことも考えられるとのことだ。
Smart Toolsを利用して仮想マシンの設定を行なっているところ
シトリックスはまた、Citrix Cloudを土台とした製品サービスとして、「XenDesktop Essentials」と「XenApp Essentials」も発表した。Microsoftとの提携により実現した製品で、他のCitrix Cloudサービスが任意のクラウドやオンプレミスを利用できるのに対し、両EssentialsはMicrosoftのIaaSである「Azure」のみとなる。
XenDesktop EssentialsはXenDesktopに加えて、「Windows 10」のVDIが利用できるという最大の特徴を備える。現時点でクラウドサービスとしてのWindows 10展開は実現されておらず、「初めてWindows 10の仮想デスクトップが利用できる」と竹内氏。これに伴い、ユーザー側でEA(エンタープライズ契約)が必要などの諸条件が生じている。
Windows 10 VDIを実現する初の製品となる「XenDesktop Essentials」
XenApp Essentialsは、Microsoftが2017年夏にサービス終了を発表している「Azure Remote App」の後継という位置付けを持つもので、個別のWindowsアプリに直接接続するという形をとる。
XenDesktop EssentialsとXenApp Essentialsはともに、Azure Marketplaceで購入(サブスクリプション)する形をとり、Azureの利用料を支払う必要がある。
このようにCitrixはMicrosoftと関係を密にしており、両Essentialsは「共同で市場にソリューションを提供していくという大きな目標の1つの実現策」と竹内氏は説明した。
XenDesktop Essentials、XenApp Essentials、XenApp&XenDesktopの3サービスの比較図