新たな調査によると、世界のビジネスリーダーの半数以上は、自社におけるモノのインターネット(IoT)の導入が、予想していたほど速くは進んでいないと考えている。しかし多くのリーダーたちは、IoTが将来的に大きな影響を持つと確信している。
ARMおよびIBMがスポンサーとなってEconomist Intelligence Unitが行った調査報告「Internet of Things Business Index 2017」によると、調査対象となったビジネスリーダーの24%は、IoTのこれまでの導入速度が当初の予想を下回っていると思うかという設問に対し「強くそう思う」と回答。33%は、「ややそう思う」、27%は「どちらともいえない」と回答した。これに対し「あまりそう思わない」は10%、「まったくそう思わない」は2%だった。

それでもリーダーたちの間には「将来のビジョンについて、強い確信」があると、Economist Intelligence UnitのPete Swabey氏は電話会見で取材陣に語った。
本調査のIoTの影響についての質問では、21%がすでに大きな影響を及ぼしていると回答し、32%は、現在のところ影響は限定的ながら、将来的には大きな影響を及ぼすと回答した。12%は、現在のところ影響はまったく見られないものの、将来的には大きな影響を及ぼすとした。
これに対し、20%の回答者は、現在のところ影響は限定的であり、将来的にも影響は限定的になると答え、9%は、現在のところ影響はまったく見られず、将来的にも影響は限定的になるとした。
この調査は、2016年9月に、825人の企業上級幹部を対象として実施された。このうち412人は経営トップクラスまたは取締役クラスだった。地域別に見ると、30%が欧州、30%が北米、30%がアジア大洋州地域、残り10%が中南米、中東およびアフリカという内訳になっている。
IoTの製品あるいはサービスへの利用に関しては、調査対象となったビジネスリーダーの相当数となる35%が、現在は調査段階であると回答。21%はIoTをまったく利用していないと回答し、一方21%は調査段階を終え計画段階に入っているとした。14%は実施段階、8%は広範囲に利用していると答えた。
IoTの社内利用に関する質問への回答にもこれと同様の結果が表れた。多数となる37%は社内利用は調査段階とし、まったく利用していないが31%、計画段階が22%、実施段階が15%、広範囲に利用しているが6%だった。
これらの数字を2013年に実施されたInternet of Things Business Indexの調査結果と比較すると、IoTの導入は世界的には若干の進展を見せていることが分かる。しかしながら米国では、IoTの社内利用は実質的に減少している。
「この結果は、2013年の時点でIoTの利用可能性を検討していた企業の一部が、自社には利益がないと判断したことを示すものだ」とSwabey氏は語った。また、IoTの導入においてはエネルギー効率が大きな原動力となってきたものの、石油価格の下落によってIoTへの関心が若干低くなった可能性があると指摘した。
回答者によると、IoTの利用を妨げる大きな要因は、導入に必要なインフラ投資のためのコストの高さのようだ。29%がそのように回答している。また26%はセキュリティと個人情報保護に関する懸念をあげ、23%は知識の不足や経営陣の関心の低さを挙げている。
現実的な懸念が示される一方で、ARMの最高技術責任者(CTO)であるMike Muller氏は「現在もIoTに投資し、運用コストの削減や新たな収益の創出という形で、実際に利益を上げている企業があり、IoTの導入は現在も下降線をたどらず進められている」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。