より賢く活用するためのOSS最新動向

IoT時代のデータストア--躍進するNoSQL、拡張するRDB

吉田行男 2017年03月01日 07時00分

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 こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。

 IoT(Internet of Things)は、PCやスマートフォンなどの情報通信機器に限らず、すべての「モノ」をインターネットに接続することを意味しています。近年ではセンサやネットワークなどの要素技術が整ってきており、加えてビッグデータ(従来のシステムでは扱えない規模の大量データ)への関心の高まりから、IoTを利用したデータ収集・活用が注目されてきています。

 このようなデータを収集・蓄積するためには、従来のRDBのようなデータストアでは、さまざまな課題があります。

 まず、最初にデータの多様性です。センサから得られるデータの形式は各センサ機器に依存しており、取り扱う機器によって数値・テキスト・画像などさまざまな形式があります。また異なる形式のデータが混在するケースも想定されますので、さまざまな形式のデータを保存できる必要があります。

 次の課題は、データ量です。IoTではリアルタイムでのデータ分析のニーズが高く、データは多くなる傾向があります。また、データの収集範囲を拡大するほど、センサ台数は大量で、1件あたりのデータサイズは小さくても、全体のデータ量としては大きくなります。加えて長期的にデータを蓄積していくケースも想定されるため、大容量のデータストアが必要となります。

 最後に、高速な書き込み処理が必要になります。多数のセンサから高頻度にデータが送信されるため、データストア側では膨大な件数のデータを短時間に受信することになります。そのため、大量の件数を高速に書き込める処理性能が必要となります。


NoSQLとは

 このようなデータを処理することに適したデータストアが求められてきたことにおり、新しい概念として、「NoSQL」の開発がすすめられてきました。NoSQLとは、「Not SQL」ではなく「Not only SQL」の略称で、必ずしもRDBを否定するものではありません。

 先ほどご紹介したNoSQLにはそれぞれのデータの特性に応じて、「キーバリュー型(分散KVS型)」「ワイドカラム型(列指向型)」「ドキュメント型」の3つのデータモデルに分類されています。以下では、それぞれのデータモデルについて簡単に説明したいと思います。

(1) キーバリュー型:

 一意なキーと、キーに1対1で対応するバリューのペアで、データを保持する方式です。従って、複雑な検索などは苦手ですが、単純な処理は高速にこなすことができます。バリューの自由度が高く、ほとんど型に縛られないので、動画や音声、画像などのメディアデータも扱いやすくなっています。特に複数のサーバに分散してデータを保存できる機能を持ったものを「分散KVS」と呼ばれています。

(2) ワイドカラムストア型:

 キーバリュー型のバリュー部分が、さらに任意の数のキーバリューの集合(列名と値)になったような構造で、RDBと似た構造をとっています。しかし、行ごとに列の名前や数は自由で、列方向の集約が高速で集計処理などが得意です。時系列に発生するセンサデータの格納に適しており、IoTと相性が良いといわれています。

(3) ドキュメント型

 キーバリュー型のバリュー部分が、JSONやXMLなどの半構造化データ(ドキュメント)になったような構造です。キーバリュー型よりも、データの検索性に優れています。スキーマレスなので、複雑なデータを柔軟に運用することができ、一般的なウェブシステムとは相性が良いといわれています。

 それぞれのデータモデルで代表的なOSS、商用製品及びクラウドサービスを下表にまとめました。

 下表のように商用製品もOSSの商用製品であったり、クラウドサービスでもOSSを活用していることを考えるとこの領域では、OSS以外の選択肢はあまりないといっても良いでしょう。

種別名 OSS 商用版・商用製品 クラウドサービス
キーバリュー型
(分散KVS型)
・Redis
・Memcached
・Riak
・Oracle Coherence
・Oracle NoSQL Database Enterprise Edition
・Pivotal GemFire
・Amazon ElastiCache  (Redis または Memcached)
・Microsoft Azure Redis Cache
ワイドカラム型
(列指向型)
・Cassandra
・Hbase
・DataStax Enterprise (Cassandraの商用版) ・Google Cloud Bigtable
ドキュメント型 ・MongoDB
・Couchbase
・CouchDB
・RavenDB
・MongoDB Enterprise Edition
・MarkLogic
・Amazon DynamoDB
・Microsoft Azure DocumentDB
・IBM Cloudant

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